茨城キリスト教大学

2025年度学生プロジェクト成果発表会を開催しました(報告)

「学生プロジェクト」とは、日立市と茨城キリスト教大学連携事業の一環として、平成20年度から実施しているもので、地域の課題解決や活性化方策などに関するテーマをもとに、学生が調査研究を行う取り組みです。

2025年度は、3つのグループがプロジェクトに応募し、それぞれのテーマで調査研究を進めました。
当日は、日立市副市長をはじめとする市の関係の皆さまや地域住民の方がご来場し学生の提案を聞いていただきました。

学生プロジェクト成果発表会の様子

日時:2026年2月21日(土)13時00分より
会場:茨城キリスト教大学8号館大講義室

代表挨拶

本学 東海林 宏司学長

東海林学長は、大学と自治体との連携は全国的に広がっている一方で、学生主体のプロジェクトが長年にわたり継続している事例は多くないことに触れ、本学の学生プロジェクトは、連携協定が形式にとどまらず、実質的な活動として継続してきた点に大きな意義があると述べた。
また、本プロジェクトが今日まで続いてきた背景には、学生一人ひとりの努力に加え、日立市をはじめとする自治体関係者や多くの関係者の熱心な支援があったことへの感謝の意を表した。
さらに、当初は授業外活動として単位とは関係なく実施されてきた学生プロジェクトについて、地域連携の取り組みは大学教育の正規プログラムとして位置付けられるべきであり、今後全国的にも重要性が高まっていくとの考えを示した。
本学では2024年度に未来教養学環を設立し、地域との連携を教育の柱とした新たな分野横断的教育を開始していることに触れ、今回の発表に携わった教員はいずれもこの教育に関わっていると述べた。
現時点では、未来教養学環における地域連携活動は始まったばかりの段階ではあるものの、今後は同プログラムから本学生プロジェクトに参加する学生が生まれていくことへの期待を示した。
最後に、学生たちが本日まで熱心に調査・研究に取り組んできたことに敬意を表し、成果発表が実りあるものとなることを願い、挨拶を締めくくった。

日立市 梶山 隆範副市長

梶山副市長は、日立市と茨城キリスト教大学による連携事業「令和7年度学生プロジェクト成果発表会」が、多くの関係者の出席のもと開催できたことに対し、心からの謝意を述べた。
本市と同大学は平成15年に連携協定を締結し、地域福祉の向上と大学の教育研究の発展を目指し、長年にわたり協働を重ねてきたことを紹介した。市の各種計画策定においても、大学教員や学生が重要な役割を果たしてきたと振り返った。
こうした連携の中核を担ってきたのが学生プロジェクトであり、平成20年度の開始以降、これまでに17回、延べ53グループ347人の学生が参加してきたことに触れ、若い世代ならではの柔軟な発想と現場感覚に基づく提案が、市政に新たな視点をもたらしていると評価した。
また、過去の学生提案が実際の政策として結実した事例として、コミュニティ通貨アプリ「まちのコイン」が令和6年度から事業化され、現在は多くの市民に利用されていることを挙げ、本事業の大きな成果であると述べた。
今年度は3グループ26名の学生が、指導教員のもと、市の関係部署と意見交換を重ねながら半年間にわたって調査研究に取り組んだことに敬意を表し、本日発表される「外国にルーツをもつ子どもへの支援」「防災力の向上」「空き家の有効活用」という3つのテーマはいずれも、市が直面する重要課題であると述べた。
最後に、人口減少や少子高齢化が進む中で、地域の持続的な発展には若い世代の参画と挑戦が不可欠であり、学生の学びと提案がまちづくりに反映される循環こそが地域の活力につながると強調した。本日の成果発表が、地域の未来をともに描く対話と協働の第一歩となることを期待し、挨拶を締めくくった。

ウェルカム!スマイル作戦

発 表 者:文学部文化交流学科 3年次
      文学部現代英語学科 3年次
      生活科学部心理福祉学科 3年次
指 導 教 員:岩間 信之(文学部 文化交流学科 教授)
 

発表の様子

プロジェクトの概要

  • 背景と目的:外国人が散在している日立市において、外国人同士のネットワークの構築、支援や現状把握に課題がある。人間形成にとって大切な時期である幼児教育の課題を明確化し、外国人保護者と子どもの教育環境の改善を目指す。
  • 調査
  1. 市内の幼稚園・保育園・認定こども園職員を対象にアンケート調査を実施し、外国人幼児の在籍状況や職員の外国語対応、保護者交流イベントの開催状況、コミュニケーションの現状を分析。
  2. 市外で開かれている日本語教室や外国人幼児を積極的に受け入れを行う保育園などの先進的な団体を訪問し、外国人保護者のコミュニティ形成や文化交流、相談環境の整備についてインタビュー調査を行った。



 
  • 提案:市役所・保育教育機関・高等教育機関(本学)の3者連携による外国人保護者コミュニティの形成
  • 具体的施策
  1. 市役所、幼稚園・保育園等の保育教育機関、大学が連携し、外国にルーツのある保護者が相談しやすい支援体制の構築を提案する。
  2. 地域の日本語教室や支援団体と協力し、交流や相談につながる機会を確保する。
  3. Google Formsを活用した「お悩みカード」を導入し、保護者の困りごとを把握し、適切な支援につなげる仕組みを整備する。

 

質疑応答の様子

Q1:多文化社会の実現に向けて、プロジェクトメンバー個人としてやってみたいこと、必要だと考えることは何か。
A:
本プロジェクトは学部・学科の混成チームで構成されていることから、各メンバーがそれぞれの学科での学びと関連づけた視点で回答がなされた。
具体的には、相手を理解するために相手の言語でコミュニケーションを図ることや、食文化・言語などを実際に体験することの重要性が挙げられ、多文化理解は日常的な関わりの積み重ねから深まるという認識が共有された。

Q2:調査結果に関する質問
A:
外国ルーツのある子どもたちを対象とした調査や研究は、全国的にも事例が少ない現状にあることが説明された。
本プロジェクトでは、具体的な施策提案に加え、こうした課題が十分に可視化されていない現状そのものに問題提起を行うことも重要な目的の一つであり、その第一歩として調査・分析に取り組んだことが述べられた。

指導教員講評

岩間先生からは、学生たちが地域の現状を丁寧に調査し、限られた先行研究やデータの中で課題を整理した点について評価が述べられた。
特に、外国ルーツのある子どもや保護者を取り巻く状況に着目し、支援の在り方を「問題提起」という視点から捉え直した点は意義深いとの講評があった。
また、今回の提案は完成形ではなく、今後の実践や議論につながる出発点として位置づけられるものであり、地域・行政・教育機関が連携して継続的に検討していくことの重要性が示された。

誰一人取り残さない防災

発 表 者:生活科学部 心理福祉学科 4年次 
                   3年次 
指 導 教 員:藤島 稔弘 (生活科学部 心理福祉学科 教授)
 
 

発表の様子

プロジェクトの概要

  • 背景と目的:災害時に特別な配慮を必要とする人々への支援体制の重要性が高まる一方、個別避難計画の活用や防災訓練への参加は十分に進んでいない。
    要配慮者を含むすべての人が安心して避難できる地域防災体制の在り方を検討、地域や関係機関が連携して取り組むための課題整理と提案を行う。
     
  • 調査
  1. 市役所防災対策課や福祉関係部署へのヒアリングを実施し、個別避難計画の作成状況や運用上の課題、防災支援の現状について調査。
  2. 防災訓練や避難支援の先進事例について文献調査・事例調査を行い、行政・専門職・地域住民が連携する取り組みの特徴を整理。
  3. 要配慮者支援に関わる多職種連携の在り方や、計画作成と実践を結びつけるための工夫について分析。
  • 提案
  Aチーム/行政主導による多職種連携型の防災体制の構築 
  Bチーム/現役世代を含む多世代が参加のしやすい防災イベント
  • 具体的施策
  1. 市役所が中心となり、介護・福祉・防災・地域関係者など多職種が参加する個別避難計画に関する研修会や意見交換の場を設け、顔の見える関係づくりを進める。(Aチーム)
  2. 個別避難計画を「作成して終わり」にせず、避難訓練と連動させることで、実際に機能する計画へと見直し・改善を重ねる仕組みを整備する。(Aチーム)
  3. 市内中学校区ごとに地域住民を含めた防災イベントや体験型訓練を通じて、防災への関心を高め、世代や立場を超えた防災意識の共有を図る。(Bチーム) 

 

質疑応答

 Q1:配慮者を想定した防災訓練を行う提案だが、各々が抱える事情によっては、無理に避難しない(動かさない)方が安全ということもあるのでは。
A:この提案をするまでにはその議論もあった。しかし、自宅や施設自体が被災する可能性を想定して避難方法を考えておく必要があるため、今回の提案に至っている。
 
 Q2:日立市では小学校区を中心に防災訓練なども実施をしている。なぜ、中学校区でイベントを検討をしたのか。
A:小学校区で開催されている防災訓練との差別化や、中学校区分とすることで参加対象の範囲が広くなり、大きなイベントにしやすい。
   また、中学生は課外授業としてイベントの運営側にまわることもでき、その保護者である働き世代の参加も見込めると想定。
 

指導教員講評

藤島先生からは、指導教員としてこの数年にわたり学生プロジェクトに取り組んできた中で、今回も学生が難しいテーマに挑戦した点について言及があった。
心理福祉学科(福祉分野)においては、利用者や要配慮者が自己決定に基づき主体的な生活を営むことができるよう支援することが、ソーシャルワーカー(社会福祉士)の重要な役割であることを日頃から伝えているとした上で、今回の提案はいずれのチームも、その考え方を中心に据え、「要配慮者が自己決定できること」「住民が自発的に行動できること」を意識して構成されている点が評価された。
また、心理福祉学科の教員として、これまでの学びの成果が提案内容に的確に反映されており、学生の成長が感じられる取り組みであったとの講評があった。

日立市空き家活用推進プロジェクト

発 表 者:経営学部 経営学科 3年次
指 導 教 員:米岡 英治 (経営学部 経営学科 教授)
 

発表の様子

  • 背景と目的:日立市においても空き家の増加が課題。空き家は、景観の悪化や防災面でのリスクにつながる一方、地域資源として活用できる可能性も持つ。
    空き家の現状と市民意識を把握した上で、所有者と利活用希望者が行動に踏み出しやすい仕組みを検討し、空き家の適切な管理・活用につながる提案を行う。
     
  • 調査
  1. 市内の空き家分布や統計資料をもとに、地域ごとの傾向や課題を整理。
  2. 市内住宅地での実地調査や、市役所担当部署へのヒアリングを通じて、空き家対策の現状と課題を把握。
  3. 市民を中心に住民アンケート調査を実施し、空き家に対する意識や活用・処分における課題を分析。
  • 提案
  行政が主体となり、空き家所有者と利活用希望者の「最初の一歩」を支える支援体制の構築
  • 具体的施策
  空き家サポートアプリの開発(空き家に関する制度や補助金、手続きの整理、継続的な情報発信、空き家所有者と利活用希望者のマッチング、活用促進)

質疑応答

Q1:空き家サポートアプリ導入後、空き家の情報提供があると防犯上のリスクが高まるのではないか。
A:サポートアプリは空き家所有者と利活用希望者のマッチングが正式に成立しなければ、具体的な位置情報などの詳細が公開されない仕組み。よって防犯対策に繋がる。
 
 

指導教員講評

米岡先生からは、学生がこの難しいテーマを選択したことに驚いたことに触れつつ、当初は空き家の利活用方法や、空き家所有者と利活用希望者のマッチングを中心に検討を進めていた点について説明があった。
その後、教員自身が遠方に空き家を所有する立場になる可能性を想定し、手続きを行う側に立った際の複雑さや煩雑さを実感した経験を踏まえ、プロジェクトの方向性を見直した点が評価された。
また、WEB上では必要な情報にたどり着くまでに複数のページを経由する必要があるという課題に着目し、アプリ開発という提案に至った思考の過程は妥当であり、プレゼンテーションを含めて完成度の高い内容であったとの講評があった。
日立市より感謝状が授与されました
プロジェクトに取り組んだ学生たちにたくさんの拍手が送られました

当プロジェクトの関係者ならびに、ご来場の皆様に心より御礼申し上げます。

地域・国際交流センター

地域交流課について

 地域交流課では、学生ボランティアの他にも地域に貢献できる講習や講演会を企画しています。
地域社会との連携、地域活動のほかに、公開講座・県民大学など各種講座運営、聴講生に関すること、広報誌「みどりの」編集・発行、地域・教育ボランティアに関することを担当しています。
 
気になる方は、地域・国際交流センターまでお問い合わせください。
 
本学では地域連携方針を定めています。
 

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