茨城キリスト教大学

公開講座「地域のもしもに備えよう」地域防災プログラムを開催しました

3月13日(木)・14日(金)公開講座「地域のもしもに備えよう」地域防災プログラムを開催

本学では、日立市にご協力をいただき、初めて防災に関する公開講座を開講しましたのでその様子をご報告いたします。
公開講座の概要はこちらから

開催にあたって

日本では、地震や津波、豪雨をはじめとするさまざまな災害が各地で発生していますが、これを防ぐ手立ては残念ながらありません。
私たちの大学がある日立市も、この数十年のうちに大小にかかわらず、複数回の災害に見舞われました。
少しずつ記憶から薄れつつある3.11(東日本大震災)も過ぎたこの時期に、「大学で防災の講座を開きたい」、そんな想いではじめて防災の講座を開くこととなりました。

講座に対する受講者のニーズも分からない中、初年度ということで「不測の事態に備えるための基礎知識を学ぶ」ことと、受講者が「地域防災力」(地域の状況に合わせた防災として住民同士で助け合う)について考える機会になればということで、講師に日立市総務部防災対策課さま、各種イベント等で本学看護学部と連携している日立市消防本部さまにご協力を賜ることになりました。

第1回/災害時の決断力を高めるための備えと公助までの間に自分ができること(自分の命を守る:自助)

(写真:松本防災対策課長による挨拶)

講師:日立市総務部防災対策課の皆さま

日時:2025年3月13日(木)10:00~11:30
場所:大学11号館2階教室
講座スケジュール
 講話:災害時の避難行動
 演習:ハザードマップの見方
 体験:避難所体験(備蓄品の紹介、間仕切りテント、段ボールベッドの設営)
受講者:約60人

1.講話:災害時の避難行動

冒頭で災害の種類や起こりうる被害を解説いただいたのち、3.11当時の日立市内の被害状況を撮影した記録映像を視聴しました。
3月に入ってから地上波放送等で特集番組が組まれていたとはいえ、14年が経過し、当時の記憶が薄れつつあった方も多かったことでしょう。市内の身近な河川や道路が津波や土砂に巻き込まれる様子、車が流される光景、レポーターやアナウンサーの必死に叫ぶ声など、改めて災害の恐怖や体験を思い出し、受講者アンケートにも「東日本大震災関連の特集をどこか他人事のように観ていました。 講座に参加して、決して他人事ではなく、あの時に自分は災害の中にいたことを改めて認識しました。」との感想もありました。
まとめでは、「起きてもいない自然現象に無駄に怯える必要はない」が、正しい知識と備え、それから情報(通信・連絡手段)の確保が重要であると強調されました。

2.演習:ハザードマップの見方

災害時、避難するかどうかの判断のひとつ、ハザードマップの見方について解説されました。
日立市では地域住民にハザードマップを配布しているそうですが、その見方を知らない方も多かったようで、自身のスマートフォンで居住地域のハザード情報を確認する演習も設けられました。「避難=すぐに避難所に行く」とイメージしがちですが、避難の考え方(ハザードエリア外ならば自宅(在宅避難)で良い)や避難所に行く場合も移動する時間帯やハザードマップを参考にすることの重要性、在宅避難をするために必要な備蓄について解説されました。

3.演習:避難所体験(備蓄品の紹介、間仕切りテント、段ボールベッドの設営)

日立市が開設する避難所(小中学校等)に備蓄している間仕切りテント、段ボールベッドの現物をご用意いただき、4チームに分かれて実際に設営体験をさせていただきました。
これまで避難所生活の経験がない受講者もいらっしゃり、避難所の資機材に触れられたこと、先の演習で避難所に行くのは最後の手段と学んだうえで、実際に自分や家族が避難所に行くと判断した場合に不足するものについて考えを巡らせるなど、貴重な体験ができたというお声が多く聞かれました。

講話中の様子
段ボールベッドの設営
無事にテントが組み立てられました
日立市からお土産がありました
おすすめの備蓄グッズを展示いただきました
防災対策課のみなさま、ありがとうございました

第2回/誰一人取り残さないために私たちができる防災力を高める方法(周りの命も守る:共助)

(写真:栗原看護学部長による挨拶)
日時:2025年3月14日(金)9:30~12:00
場所:大学8号館教室
講座スケジュール
 講議:日立消防署の災害への取り組み
 講義:周りの命を守るためにできること
 演習:①応急処置法(止血、固定法)②搬送法
受講者:約50人

1.講議:日立消防署の災害への取り組み

江幡氏は冒頭で、2011年3月11日の1週間後に東京で国試を受けて消防士になられたという経験があり、震災当時のエピソードを詳細に語ったあとで、119番通報件数のお話に。
現在、通報件数が年々増加していることは茨城県民であればよく知るところではありますが、昨年は日立市内で1万件を超える通報があったことには会場から驚きの声があがっていました。また、昨年から茨城県で導入されている「緊急性のない救急搬送に対して、選定療養費を徴収する制度」により、実際に徴収したケースがあることも報告され、緊急を要するか否かの判断に迷う際には緊急電話相談にご連絡をいただきたいと説明。そのうえで、救急が到着するよりみんなで運んだり、応急処置をする方が早いことがあることを強調し、受講者が次の演習に期待感をもっていただけるようなお話をいただきました。

2.講義:周りの命を守るためにできること

長津先生は、自身がJMAT(日本医師会災害医療チーム)の看護師として災害の現場で活躍したことのある先生であり、本学看護学部看護学科の「災害看護」の授業も担当しています。冒頭で、先生が看護師役として映画に出演された経験も紹介され、温かい拍手のもと講義がはじまりました。
講義では、厚労省が発表している数字をもとに、大きな被害となった3つの震災を比較し、死者の原因などについて解説されました。震災後、救急救命センターに運ばれてきた患者の多くが「ガラスの破片による切傷や挫滅創」、次いで、「転倒・転落による骨折や打撲」、そして「過換気症候群やパニック障害」だそうです。一度目の震災時は怪我をせずに済んでも、その後の余震や家の片付け等が開始してからより一層搬送の数が増える傾向にあることも示唆されました。

※当初のご案内には記載をしていませんでしたが、看護学部長の栗原先生と長津先生のお声がけのもと、2日目の講座では全体を通して看護学部全面協力ともいえる、看護学部の先生方、学部生や院生までが演習の補助も担当してくれました。

3.演習:応急処置法(止血、固定法)

このセクションでは、災害時に怪我をして出血しているときの止血と骨折した方の応急手当について看護学科の説明後、受講者同士で実演しました。 当講座のテーマである「共助」として、周りにいる方が骨折をしていることとわかったとき、どうやって応急手当をするかという視点で、タオルやガムテープ、ゴミ袋、雑誌といった家の中にある身近なもので骨折した腕や足を固定する方法が伝授されました。ある程度の慣れが必要ではありますが、骨折して痛みがひどい状態から「折れた場所を安定させてあげる」ことが重要であると学びました。

3.演習:搬送法

このセクションでは、怪我等の理由で動けない方を安全な場所まで避難させる方法として搬送法を体験しました。はじめは8号館の模型(人形)を使用していましたが、実際にさまざまな体格の方に患者役になってもらうことで、何人で運ぶのが良いか、どんな風に支えてもらったらよいか(患者が怖くないか)、運ぶ側の腰への負担などを考える機会となり、受講者から講師に対し積極的な質問が多く寄せられていました。
受講者から「緊張をしているから患者役も体重をかけすぎないようにしているが、実際には動けない方を運ぶ。ぐったりとしているため、全体重がかかるので運ぶのは大変だろう。運ぶ人同士でしっかり息をあわせて支える必要がある」との感想も聞けました。受講者としてきてくれたスティーブンス先生が患者役となっていますが、運ばれる側も少し怖かったそうです。

4.その他のセクション(DMAT物品展示)

このたび、水戸協同病院さまのご協力によりDMATの物品をお借りして、DMATがどんなものを持って災害現場に駆け付けているのか、実際に制服を試着させていただいたり、バッグを背負わせていただいたりして、いかに大変な中、関係の皆さまが救助活動をしてくださっているのかが伝わったことと思います。
水戸協同病院さま正式名称:筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター JA茨城県厚生連総合病院 水戸協同病院

4.その他のセクション(AEDの展示)

「AEDの使い方はなんとなく知っているけれど、いざという時には不安だ」といった声も聞かれたAEDのブース。時間の都合上、AEDの説明を最後までお聞きいただけなかった受講者の方もいらっしゃったようですが、皆さま真剣に取扱い方法を伺っていらっしゃいました。

掲示ブース
掲示ブース
掲示ブース
DMAT物品展示ブース(水戸協同病院より借用物品)

(おまけ)ふりかえり写真集

受講いただき、ありがとうございました。

会場でも受講者の皆さまからたくさんの嬉しいメッセージをいただきました!当プログラムを続投できるよう企画を検討してまいります!

 受講者アンケートより抜粋
・生徒さんや大学の先生たちも含めてこれだけの人数の方がこのワークショップのためにお時間作っていただき、本当に感謝です。家族や友人にも受けさせてあげたいので、またこのような機会を与えていただけたら嬉しいです。
・大変有意義な一日でした。 特に実習が良かったと思います。
・単発の活動ではなく、継続していってほしいプログラムだと思いました。 より一層、地域に開かれた大学となるよう願っています。
・防災について真摯に考えるきっかけになりました。
・このような講演、指導の計画的な開催、また地域(コミュニティ)等への参与、啓発活動を積極的に実施して頂ければ有難いと強く感じました。

地域・国際交流センター

地域交流課について

地域交流課では、学生ボランティアの他にも地域に貢献できる講習や講演会を企画しています。
地域社会との連携、地域活動のほかに、公開講座・県民大学など各種講座運営、聴講生に関すること、広報誌「みどりの」編集・発行、地域・教育ボランティアに関することを担当しています。
 
気になる方は、地域・国際交流センターまでお問い合わせください。
 
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