茨城キリスト教大学

【COC+事業】茨城キリスト教大学シンポジウム「かぞくのかたち-子育て・家族の今を考える-」開催報告

【COC+事業】茨城キリスト教大学シンポジウム「かぞくのかたち-子育て・家族の今を考える-」開催報告

3月8日木曜日 午前10時より12時まで、茨城キリスト教大学11号館2階11203教室に、木村隆弘さん、田中志保さん、鈴木友里江さん、吉羽文雄さんをお招きし、本学児童教育学科准教授中島美那子の進行で、標記シンポジウムが開催されました。

様々な困難な状況にまっすぐに向き合い、子どもの育ちを支えていらした4人の講師のお話を伺い、学生80名余、一般市民30名余が、どの子にもそれぞれの健やかな育ちの恵まれる社会をつくるために、自らの成すべきことを探る時間が持てました。

木村隆弘さん

 2011年に奥様を病気で亡くす。発病当時、長男中学生、長女小学生、次男幼稚園児、母親の闘病・死別を子どもたちが受け止め育って行けたのは、それぞれの担任や部活の顧問が、学校生活の中で、子どもたちが自分に自信が持てるよう、夫々の成長のステップを支え、共に喜んでくれたことが大きな力になった。子どもの成長を支えるために何ができるか、マニュアルにないことが起こったときこそ、考えられる保育者になってほしい。
シングルファーザーとして3人の子どもを育てようとした時、「家事ができない」とは、言っていられない。子育てと職業の両立を探る中で自営業を選択。現在はNPOファザーリングジャパンのメンバーとして、また、絵本と音楽で子どもたちパパ・ママを笑顔にするSmile Bank Mitoを結成し、地域の絆を深め、親子を支える活動にも取り組んでいる。

田中志保さん

 ご自身の離婚の経験から、同じ地域に住む離婚前後のシングルマザー26人それぞれに2時間のインタビューを行い、離婚のきっかけ・現在の状況などを聞き取り調査・分析して、2015年9月に、NPO Single Parent 101として小冊子 『プレシングルマザーヒントBOOK 私たちの選択と決断~離婚、子どもと漕ぎ出す新たな未来~Vol.1』を発行した。このような働きかけの結果、一般社団法人静岡市母子寡婦福祉会事務局に入職、現在は、静岡市からの受託業務「ひとり親家庭相談窓口」を担当している。日本は男女の給与格差が大きく、社会保障も男女がセットで設計されているので、一人になると男性も女性も生きづらくなる。日立市民の意識調査でも、女性が子育てに専念するために離職することが望ましいと考える人が多いが、ひとり親が生きやすい社会は、ワーキングマザーにとっても、LGBTの方々にとっても生きやすい社会。誰にとっても暮らしやすい社会を一緒につくりましょう!

鈴木友里江さん

 保育専門学校で保育者を育成、一般社団法人首都圏保育士スキルアップ協会を主宰し現役保育者のリカレントの場を作っている。また、東京都の養育里親としての経験ももつ。
養育里親とは、養子縁組をすることなく、児童養護施設や児童相談所と緊密に連携しながら、何等かの理由で生みの親や親族のもとで育つことのできない子どもを18歳まで家庭に受け入れ、里親として育てる制度。先進国では、養育の必要な子どもを里親として育てるのは一般的なことであるが、日本では児童養護施設で育つ子どもが大多数で、養育里親制度についての社会の理解も進んでいない。そんな日本で、里親が決まると、子どもは「よかったね」と言われるが、発達等においてマイナスからの出発になってしまう子どもも少なくなく、里親子をサポートする仕組みが不可欠である。

吉羽文雄さん

 那珂市で55年続く町の床屋「ひばり理容室」二代目。自閉症スペクトラムで、ほとんど発語はないものの、充分に意思疎通できる二人の息子さんを、ご両親と同居して育てるシングルファーザー。水郡線上菅谷駅前新興策「カミスガプロジェクト」メンバー。
障害のある子は手をかけないと育たない、男の子二人を育てるのは、男の自分にしかできないと思った。子どもたちと妻との面会交流は続けているが、息子たちには何で父と母が一緒にいないのかという思いはあるらしい。
自分が鉄道マニアで息子たちも鉄道が好きなので、よく一緒に鉄道で出かけるが、「みなさん障害児を見てよ!」という想いがある。列車の中では、息子たちと乗客の間でトラブルが起こることも間々あるが、手助けしてくれる人もおり、迷惑をかけることもある。迷惑をかけた時には、親である自分が謝るが、息子たちをさらけ出すことで障害のある人に目を向けてもらいたいと思っている。

会場の様子

以上、それぞれに、ご自分の人生を意志をもって歩み、子育てを通して社会に働きかけていらっしゃる4人の講師からお話を伺って考えたこと感じたことを、以下に当日のアンケートからご紹介します。

一般の方の感想から

いろいろなお話を、涙を流しながら、笑いながら、楽しく拝聴いたしました。シングルマザーでNPOを立ち上げたこと、すごいなぁと思いました。私も、主人の機嫌を損ねないよう、そして怒り始めた時、子どもたちに飛び火しないよう、気を遣って生活しているので、すごく共感しました。

普段なかなか聞けないお話を聞かせていただきました。「血は水よりも濃い」という日本人の意識が悪の根源!多くの人の意識を変えていく努力を皆でする必要を感じました。水は血より尊い!

里親に関しては、ショックを受けましたが勉強になりました。「普通の家族とは?」と問われても、もう何が普通か分からないですね。自分の家族を見直すきっかけになりました。

アンネローゼの利用者です。期待した通りのお話が、学生と一緒に聞けて良かった。父親像も見えて、夫婦でお話を聞きたかったと、思いました。

「三つ子の魂百まで」って本当だなと、三歳までの育ちの環境がとても大切なことが、よく分かりました。まもなくの出産を控えていますが、愛情たっぷりに育てていきたいと思いました。それぞれの家庭で、いろいろあるけど、地域社会の支援がどれだけ大事か、改めて実感しました。

かぞくのかたちは、いろいろだけれど、学校や地域の協力は不可欠と、広めて行くことが大事なのかな、と考えさせられました。

学生の感想から

吉羽さんのお話を聞いて、障害を持った二人の息子さんとの暮らしがとても楽しいという思いが伝わってきました。そういうお話をしてくださった吉羽さんのことを、とても尊敬します。こんな大人になりたいと、思いました。

「保育者として、マニュアルで子どもと付き合うのではなく、人として何ができるか考えてほしい」という木村さんの言葉が印象に残りました。木村さんは、母親が亡くなったとき、幼稚園の先生に支えてもらったとおっしゃっていましたが、私も「かわいそう」で終わらせるのではなく、どうしたら支えてあげられるか、考えられる保育者になりたいと思いました。

ひとり親で子育てしている人たちの中には、周りに信頼できる人がいなくて、自分がしっかりしなきゃと、自分自身を責め、苦しんでいる人も多いと思います。私の周りにそういう人が居たら、自分はその人の信頼できる一人として思い浮かべてもらえるだろうかと、考えました。…相談されないから、何も言われないから知らないふりをして手を貸さないとは考えたくないと思いました。気づいて相談に乗り手を差し伸べる、最初は否定されることもあるかもしれないし、心を閉ざしている人にはやりすぎもよくないかもしれないけれど、こちらから踏み込んでいくことも必要でしょう。今日、地域の人から協力があって良かったとお話を聞いて、自分は他人のために何ができるか改めて考え、行動を起こしていこうと思いました。

やってみなければわからない、やるしかないということで、やっていけるということは、とてもすごいと、思いました。

田中さんは、離婚という自分の経験から、自分のことで大変な時に、おなじような経験をした人の話を聞いて支えるNPOを作ってしまった。そうやって大変な時に、社会に一歩踏み出したことが仕事や、いろいろな道につながっていったのだと思った。

女性は、男性の給与の60%しかもらっていないという男女の給与差に驚いた。子どもが生まれると仕事を辞めてしまう女性が多いのは、「子どもは母親が育てるもの」という社会の認識が影響しているのだと思った。子どもにとって父親と母親はとても大事だけれど、その父と母が対等な関係を築けていなかったら、いくら人間は平等と言われても、家族とはそういうものだと、子どもは錯覚してしまうだろう。

里子のマイナスからの出発という生のお話を聞いて、人と関わることで子どもは生きていく上で必要なことを吸収していくのだと、改めて思いました。おままごとの話は衝撃的でした。

ひとり親家庭も血のつながらない里親里子も、みな、かぞくのかたちなのに、私たちはなぜか、血がつながっていないと、ひとり親だと、障害があると、「かわいそう」と思ってしまう。私自身も、そう感じてしまうが、少しずつ、その考えを変えていけるといいと思った。

教科書や本を読んだだけでは感じられない、生の苦しみや辛さもうかがい、誰でも暮らしやすく生きやすい社会をつくることが大切だと感じられました。 
 (以上、文責 原口なおみ)  

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