茨城キリスト教大学および大学院の入学式が午前の部、午後の部と2部制で行われ、新入生・保護者の方がローガン・ファックス記念講堂へ集まりました。
午前の部は10時に開式し、大学は文学部と未来教養学環、留学生の紹介が行われ、午後の部は14時に開式し、大学は生活科学部と看護学部、経営学部、大学院は生活科学研究科、看護学研究科の新入生が集いました。
総勢611名の入学を東海林 宏司学長が許可しました。






本日、この豊かな自然に恵まれたキャンパスで、大学・大学院での学びの一歩を踏み出される皆さん、ご入学おめでとうございます。ご同席のご家族・関係者の皆様にも、茨城キリスト教大学を代表し、心よりお祝いと歓迎のご挨拶を申し上げます。あわせて、ご来賓ならびに学園関係の皆様には、年度初めのご多忙の中ご参列賜り、誠にありがとうございます。
はじめに、本学園・本学の歩みを簡単に振り返ります。第二次世界大戦後間もない1947年、この地で創立された茨城キリスト教学園は、今年で創立79年を迎えました。皆さんの在学中である2027年度には、80周年という節目を迎えることになります。夜間の英語学校、そして幼稚園から始まった本学園は、高等学校、短期大学、中学校の設立を経て、1967年に茨城キリスト教大学を開学しました。開学当初は文学部のみで、入学定員はわずか100名、入学式も一つの教室で行えるほどでした。その後、短期大学との統合や新学部の設置を重ね、さらに2024年度に未来教養学環が誕生し、現在の入学定員は570名となりました。入学式も、いまではこの講堂で午前・午後の二部制により実施しています。
創立以来、本学園が大切にしてきたのは、「隣人愛」という建学の精神です。他者への思いやりと心遣いを尊ぶこの精神は、これからも変わることはありません。そのうえで本日は、新入生の皆さんが学生生活を送るにあたり、心に留めていただきたいことをお話しします。キーワードは「人新世」です。
「新新世」と呼ばれる氷河時代が終わると、地球は「完新世」と呼ばれる時代に入りました。完新世は比較的温暖な気候に恵まれ、人類の文明は大きく発展してきました。しかし、文明、そして科学技術の発展は恩恵をもたらす一方で、さまざまな歪みも生み出してきました。こうした問題意識から提唱された時代区分が「人新世」です。ノーベル化学賞を受賞したオランダ人の学者パウル・クルッツェンらにより、2000年に提唱されました。「人新世」とは端的に言えば、人類が生み出した科学技術の影響によって地球温暖化などが進み、地球環境に大きな変化が生じ、その結果として生物の生存にまで重大な影響が及びうる時代に至っている、という分析です。「人新世」を正式な時代区分として認めるかどうかについては、科学コミュニティの中でも議論があります。しかし、地球と人類に対する重要な問題提起として、私たちはこれを真摯に受け止めるべきだと考えます。
高校までのように「検定教科書」のある学びとは異なり、大学での学びは簡単に「正解」が見つかるものではありません。学問は「真理」の追求であると言われます。容易に正解へたどり着けない中でも、真理を求め続ける姿勢は重要です。加えて人新世においては、「真理」だけでなく「倫理」を求め続ける姿勢も、同じく大切であることを申し上げておきます。具体例として、近年急速に発展しているAIを取り上げます。皆さんの中にも生成AIを活用している方が多いことでしょう。AIの発展は人類に大きな利益をもたらしてきましたが、一方で、フェイクニュース動画の生成など、倫理的に問題のある利用も現実に起きています。戦争や紛争にAIが用いられているという痛ましい事例もあります。学びの過程で得られるものの「良い面」だけを見るのではなく、否定的な側面もあわせて考えること——これが、倫理的なものの見方であると言えるでしょう。
日常生活においても、自らの行動が地球環境に悪影響を与えていないかを省みて、課題を感じたなら改善していくことが、人新世を生きる私たちに求められる姿勢だと思います。必要以上にプラスチックごみを出していないか。歩ける距離を車やバイクで移動していないか。身近なところにも、見直し、変えていけることがあるはずです。先ほど述べた「隣人愛」に加えて、「地球愛」を持つことを心がけていただきたいと願っています。
「地球愛」を持つことは、近い未来に対して一定の責任を引き受けることでもあります。自分たちの世代だけでなく次の世代のことにも思いを馳せ、学び、行動する学生になってください。
最後に、本学の教職員は、入学された皆さんの良き相談相手となり、全力で支えてまいります。あわせて、皆さんの成長を後押しするためのヒントを与え続けます。入学したばかりで緊張している皆さんが、本学での学びと生活を通して、見違えるほど大きく成長されることを期待し、私の式辞といたします。改めまして、ご入学おめでとうございます。
2026年4月3日
茨城キリスト教大学
学長 東海林 宏司


