茨城キリスト教大学

IC研究トピックス001:幼児のお昼寝を考える−保育施設が一斉昼寝をやめた前後で,子どもの睡眠はどう変わった?−

文学部児童教育学科の清水悦子准教授らの研究論文が睡眠研究・睡眠医学分野を代表する国際誌 Journal of Sleep Researchに掲載されました。

本研究は,JSPS科研費(課題番号JP24K05794)の助成を受けて実施された研究の成果です。

 

4歳児を対象に,一斉昼寝の取りやめ前後を客観的に測定

4歳児クラスへの進級時に一斉昼寝を取りやめる方針をもつ保育施設(茨城県ひたちなか市)の協力を得,清水准教授らの研究チームは,園児19人を対象に睡眠と持続的注意の変化を調べました。腕時計型の活動量計を用いて,一斉昼寝の取りやめの前後(約3週間後)に,それぞれ7日間の睡眠を測定しました。あわせて,集中力を調べる課題を実施しました。

一斉昼寝をやめた後,子どもの睡眠はどう変わった?

一斉昼寝をやめた後,子どもたちは夜寝る時間が平均12.5分早くなり,寝つくまでの時間も平均14.1分短くなりました。その結果,夜の睡眠時間は平均31.6分増えました。
ただし,減ったお昼寝の時間を夜の睡眠だけでは補いきれず,1日のトータル睡眠時間は平均37.2分減りました。
 
 

夜の睡眠が増えた子ほど「うっかりミス」が減少

集中力を調べる課題では,子どもたち全体では成績に明確な変化はみられませんでしたが,子ども一人ひとりの変化を調べたところ,夜の睡眠時間がより増えた子ほど課題の「見逃し」が減っていました。
一方で,一斉昼寝の取りやめ後には,保護者の評価による日中の眠気が増加していました。そのため,昼寝をなくす際には家庭で就寝時刻を早めるなど,夜間睡眠を確保するための支援が必要となる可能性があります。
 

「一律のお昼寝」から「一人ひとりに合わせた睡眠」へ

研究チームは,子どもの発達や必要な睡眠量には個人差があることから,全員一律に昼寝を実施または終了するのではなく,子どもの発達段階や睡眠の必要性に応じて柔軟に対応することが望まれると呼びかけています。

論文情報

Shimizu, E., Mitsuhashi, S., Amagasa, S., & Ishikawa, H. (2026). Sleep reorganization and sustained attention following group nap cessation in Japanese preschoolers. Journal of Sleep Research, e70453.

清水 悦子准教授にインタビュー

Q1.保育施設のお昼寝に注目したきっかけを教えてください。

ライフワークとして乳幼児の睡眠支援活動を長年行っているのですが、そのなかで「家ではもうお昼寝をしないのに、園で長く昼寝をすると夜なかなか寝つけない」といった子育て家庭からの相談をたびたび受けてきました。
ちょうど、4歳児クラスへの進級時に一斉午睡(※)を終了する保育園と出会い、午睡がなくなる前後で子どもたちの睡眠や日中の様子がどのように変化するのかを明らかにすることで、子どもの発達に応じた午睡のあり方を考える手がかりにしたいと思い、この研究を始めました。
 
※午睡・・・保育園で実施される昼寝のこと
 

Q2.今回の研究で,最も注目してほしい結果は何ですか?

午睡の終了後には夜間睡眠が長くなりましたが、特に注目したいのは、夜間睡眠がより長くなった子どもほど、持続的な注意力を測るテストでミスが少なかったことです。
単に午睡をなくすのではなく、家庭と園が連携しながら、子どもが夜に十分な睡眠をとれる生活リズムを支えることの大切さを示唆する結果だと考えています。
 

Q3.この研究を,今後どのように発展させたいですか?

必要な睡眠時間や昼寝の必要性には大きな個人差があり、今回の調査でも午睡終了後に夜まで元気に過ごせる子もいれば、夕方に眠くなる子もいました。
今後は、午睡を終了し夜間睡眠中心の生活へと睡眠リズムが移行していく時期に、一人ひとりの睡眠ニーズをどのように捉え、家庭と保育園が連携しながら子どもの健やかな睡眠発達を支えていけるのかを検討し、保育現場で実践できる方法につなげていきたいと考えています。
 

清水准教授からのメッセージ

最後に、この研究は保育園の先生方のご理解とご協力、そして子どもたちと保護者の皆さまのご参加があって初めて実現したものです。
4歳児さんが腕時計型の機械をつけたまま1週間生活するというのは、なかなかできることではありません。頑張ってくれた子どもたちと、前向きな言葉がけで機械をつけ続けられるようサポートしてくださった保護者の皆さまと園の先生方に、心から感謝しています。
 

清水先生、この度はおめでとうございました。

インタビューへのご協力にも感謝申し上げます。

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