2025年度 9月分報告書
私が滞在しているベクショーの街は非常に落ち着いており、夜に一人で歩いていても危険を感じることはありません。実際に、友人がスーパーマーケットでスマートフォンを置き忘れたことがありましたが、次の日に取りに行くと、そのまま店に保管されていました。この出来事は、現地の人々の誠実さや街の安全性を象徴していると感じます。留学生にとって、安心して学業や活動に専念できる環境は非常に重要であり、ベクショーはその点で理想的な場所です。
私が最初に履修した授業は「Swedish Leisure and Sport and Culture」です。この授業は、スウェーデンの自然や文化を実際の体験して学ぶことを目的としています。特に印象に残ったのは、森での散策と「アリを食べる体験」です。授業の一環として希望者にアリを試食させてくれました。私は恐る恐る口にしましたが、その小さな体は想像以上に強烈な風味を放ちました。食感はまるで魚卵のとびこのようにプチッとはじけ、味は爽やかなレモンソーダに近い酸味がありました。しかし、同時に胃酸を口に含んだような刺激も感じられ、褒め言葉ばかりでは表現できません。教室で本を読むだけでは決して得られない学びでした。また、授業でアイススケートとアイスホッケーなどのスウェーデンの伝統的なスポーツをしました。アイススケートは想像していた以上に難しく、立っているだけでもバランスを取るのに一苦労でした。しかし友人と支え合いながら滑ることで、転ぶことすら笑いに変わり、学びと楽しさが共存する貴重な時間になりました。さらに挑戦したアイスホッケーは、想像をはるかに超える難しさでした。スティックでパック(ボール)を追いかけながら、同時に転ばないように体勢を維持しなければならず、二重の集中を求められます。ボールに意識を向けすぎると途端にバランスを崩して転倒し、体勢を意識しすぎるとボールを見失うという具合です。プロ選手があのスピードで試合を成立させていることの凄さを、身をもって実感しました。この体験を通じて、スウェーデンでのスポーツ文化の奥深さを学ぶことができました。
もう一つ履修しているのがスウェーデン語の授業です。スウェーデン語には英語には存在しないアルファベット(å, ä, ö)があり、それぞれに独特の発音があります。この発音は想像以上に難しく、口の形を真似してもなかなか習得できません。さらに印象的だったのは、授業でリーディングさせられたときのことです。その文の中でどれが動詞なのか分からず、戸惑いや不安を覚えました。先に文法の解説があれば理解しやすかったのですが、授業ではまずスウェーデン語の文章をそのまま提示し、後から解説するという流れになっています。実際、そのときも音読の後に先生が過去形の文法を解説し、「先ほど読んだ文は過去形だった」と知ったとき、ようやく内容を整理することができました。「順序が逆であればもっと安心して学べたのに」という気持ちも正直ありました。教材についても、日本ではスウェーデン語に関する学習書や副教材がほとんどなく、教科書もすべてスウェーデン語で書かれています。授業の説明もスウェーデン語がメインで、必要に応じて少し英語が添えられる程度です。そのため、自主学習が中心にならざるを得ず、学習者にとっては大きな負担となります。さらに、リスニングや先生の説明をスウェーデン語であるのですが、英語の授業と違って「リンキングサウンド」を習っていない段階から、単語同士を繋げて発音します。たとえば英語で want to が wanna のように、かなり早いスピードで話されます。そのため、教科書を開いていても、先生がどこを読んでいるのか分からなくなることがかなりあります。授業は6つのクラスに分かれており、私の教授はこのような進め方をしていますが、他の教授のスタイルは分かりません。とはいえ、いずれにせよスウェーデン語を履修する際には相当の覚悟が必要だと感じました。
授業以外では、私は大学で行われている「International Football」と「Futsal」に参加しています。参加者は世界中から来た留学生で、国籍も文化も多様です。フィールドでは、言語よりもサッカーそのものが共通言語となり、自然に交流が生まれます。驚かされるのは、彼らの情熱です。些細なファウルや判定をめぐって激しい口論になることもしばしばあります。日本の学生同士ではあまり見られない光景ですが、それだけ真剣に取り組んでいる証拠です。この活動は異文化交流の場としても非常に有意義だと考えています。