茨城キリスト教大学

2019年度天津師範大学への海外留学生 AN 12月分報告書

【中国】天津師範大学
A.N.(文化交流学科)
Tianjin Normal University 【CN】

2019年度 12月分報告書

天津の十二月は日本とは比べものにならないくらい寒い。持ってきたコートでは全く足りない寒さで、厚手のダウンでないと外出することはほとんど不可能である。

風が吹く日は特に耳まで痛くなるため、フード付きでないと困る。今月は一月にテレビ出演することが決まった。クラス発表のダンスで良い結果を残したため新年のテレビに出ることになったらしい。天津のテレビ局は非常に広くて、現場には中国の芸能人らしき人も来ていた。

ただ著者は中国の芸能人について卓球選手くらいしか知らないので、誰かまではわからなかった。

放送日時はまだ知らされていないが、中国は旧歴の正月にお祝い事をするため、放送は旧正月になるかもしれない。団体とはいえダンスと歌を披露したり、習字を習っているということで新年の書き初めとしてカメラの前で一発書きをしたり、普通に生活していたら日本のテレビに出演することも無いので、かなり緊張した。

後半は、友達とクリスマスイブの礼拝などに出かけた。

天津師範大学八里台キャンパスの中だけでなく周りには多く外国人も住んでおり、その人達向けにクリスマスの礼拝のようなコンサートのようなものが開かれている。中にはアフリカ系からヨーロッパ系、アジア系と幅広く集まっていた。海外では何教徒か聞かれるのは当たり前のことらしく、ベトナム人の友人と食事をしていた際に何教徒か聞かれるなどした。こういう時に日本人だと少し回答に困る。死後墓に入るため仏教徒と答えたが、これで正しいのかもよくわからなかった。仏教徒であるベトナム人の友人はクリスマスも大した祝い事はせず自宅でのんびり過ごすと言っていたため、真剣に宗教を信仰している人間は異教徒の考えを尊重はするものの、異教のイベントには進んで参加しないのかもしれないと感じた。

イスラム教の友人は断食月になると目薬さえ忌避するようになるなど、宗教を信仰する上で真摯というか、真剣さを感じることが多い。

宗教色が強い人々と接していると、宗教をエンタメ的に捉えている日本人の不思議さが目立つ。中国で進行している人間が多い仏教であるが、その埋葬方法は日本と異なるなど、同じ宗教だと思っても完全に一緒ではない。著者が留学中に父の父、つまり祖父にあたる人間が亡くなったのだが、埋葬方法は骨を焼いた灰を川に流す「散骨」という方法をとったらしい。散骨をすると亡くなった人の形は完全に失われ、お盆に祖先の元を訪れる墓参り的な感覚はなくなる。誰も居なくなった家を売ってしまったりすると、亡くなった人は記録でしか残らない。

同じ仏教でも祖先の骨を骨壷に入れて残し、時が来たら挨拶をする日本とは全く異なった手法をとるのだと知り驚いた。

月の中頃には古楼に行ってきた。古楼は中国の少し古い町並みの雰囲気を残して観光に特化したように見える場所であるが、所々動いていないエレベーター等があった。お土産には泥人形と言われる泥から作った人形のキーホルダーやハンドスピナーなど100円均一で売っているようなものや、瓢箪や木から作ったネックレス、干した漢方、変面のおもちゃや夫婦向けの揃いの箸など雑多なものから伝統的な品まで幅広く雑に置かれている。コンセプトとして統一されていない感じがして、そこが逆に少し昔の中国を表現しているようで絶妙に美しさと繁雑な感じが混ざり、綺麗に整備され観光に特化した古文化街よりも好みだった。

帰国にあたって

十二月に入ってから教えられたことではあるが、試験は十二月三十一日に終わり一月三日から帰れるらしい。友人である日本人の先輩は自費留学で来ているため学期が終わる日付がズレており、詳しい日程がわかるのがだいぶ後だったためフライトのチケットの用意などに手間取った。これから天津師範大学に留学する人は、一月の上旬に帰るチケットを用意した方が良いかもしれない。そして成績表を受け取る日にちと時間が全然無いため朝から支度して早目に取りに行かないと事務が閉まってしまい、著者のように友達に送料を払うから日本に送ってと頼む羽目になってしまうのでそこも注意が必要である。