本専攻では、教育に関する知識の学習(頭)、子どもの心を理解するための諸技法に関する学習(心)、体験型の授業での学習(身体)を、バランス良く行えるカリキュラムが組まれています。その中で私の担当する「教育史」などでは、過去の教育方法や教育思想の学習をとおして、教育に対する先入観を揺さぶっていきます。例えば学生に「子どもを描いてみて」と言うと、かわいい子の絵が上がってくることが多いですが、16世紀頃の資料を見ると「背丈は低いが顔は大人と同じ」人物として描かれています。つまり、昔は子どもの扱いが今とは異なり、「子どもをかわいがる」文化もずっと昔からあったのではないことがわかるのです。ということは、現在の教育観が、今後も絶対に正しいとは限りません。このように多様な観点を学ぶことで、現在とこれからの教育について、冷静に考えることのできる力が養われていきます。
学生に対しては、常に期待して授業を行っています。それだけの可能性を持っていると信じているからです。学生同士が議論できる場を設定したり、授業後のコメントシートからすぐれた感想を次の授業で紹介するなど、学生同士で刺激し合い、互いに貢献できるような場も設けています。ただ、いつも張り切ってばかりでは疲れてしまうかもしれません。ときには肩の力を抜くことも大切です。多くの同級生や先輩後輩、教職員と出会い、良い影響を与え合いながら成長できることを、ぜひ楽しみに入学してきてほしいと思います。