学校法人茨城キリスト教学園

【インタビュー(1/2)】本学留学生が県内民間企業に就職しました!

2019年より本学に留学していたベトナム人のダン ティ トゥイ ヴィ(dang thi thuy vy)さんが、2022年3月に茨城県内の総合商社である関彰商事株式会社に就職しました。コロナ禍での苦労と、それらをどう乗り越え、日本で学びを続け、就職活動をしてきたのか…ヴィさんと関彰商事㈱の皆さんにお話を伺いました。

左から 広報部長 田中利明さま
総合企画部部長兼総合企画課課長 上村祐一さま
本学元留学生/現・総合企画部 事業開発課 ダン ティ トゥイ ヴィさん
取締役 常務執行役員 ウェルビーイング本部長 岡本俊一さま






新妻
「本日はお時間をいただいてありがとうございます。皆さまのお話を通して、ヴィさんの企業に就職するまでのストーリーを深堀りできたらと思います。まず初めに、ヴィさんが日本に興味を持ち、留学しようと思った理由について教えていただけますでしょうか。」

ヴィさん
「はい。アメリカにいる親戚から、日本語の勉強を勧められていました。多くの日本の大企業がベトナムに進出しているため、日本の投資力を鑑みてのことだと思います。また、ベトナムでは日本のアニメがよく流れており、日本文化を身近に感じていました。私は当時『おしん』を観ていました。」


新妻
「アニメですか?しかも『おしん』とは、なかなか渋いですね(笑)!」

上村さま
「実は私も2016年から、弊社がベトナムに法人を開設するために現地に赴任しましたが、日本=アニメの印象を持っているベトナム人は大変多いですよ。『ドラゴンボール』や『NARUTO』など、たくさんの日本のアニメが放映されていました。『おしん』も弊社の現地社員をはじめベトナム人にとても人気でしたね(笑)。」


新妻
「そうだったんですね。そんなヴィさん、日本にはどんなスケジュールで、どんなことを学びに留学する予定だったのでしょうか。」

ヴィさん
「留学中は、主に東南アジアの歴史や文化の研究やビジネス事情について学ばせていただきました。また、逆に日本人の皆さんにベトナムのことについてお伝えさせていただく機会もありました。ベトナム講座が開かれた際には、ベトナム料理を振る舞うこともありました。 また、留学期間については、2019年の9月から1年間の留学を予定していました。しかし、2020年頭から猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の影響により、留学して半年の2020年3月に帰国することを余儀なくされました。日本もベトナムもロックダウン状態がいつまで続くか不透明な中、このタイミングで帰国しないと、ベトナムに戻れなくなり、ビザが切れてしまう可能性があったからです。 しかし、日本での留学を続けたいという想いは消えることはなく、2020年9月に再度日本に渡り、残りの半年分の留学を再開させていただきました。


 
新妻
「留学期間は2021年3月までだったと思いますが、その後の期間はどこで、どのように過ごしたんですか?」

ヴィさん
「大学側の配慮で学生寮にいられる期間を半年間延長していただけたんです。その間は、聴講生として大学の講義を受けたり、日本語の勉強やアルバイトをしながら生活していました。アルバイト先は、コンビニエンスストアやベトナム料理店です。大学付近にはベトナム料理屋さんはないので、水戸市まで出向いていました。」

新妻
「そうだったんですね。私もヴィさんの作るベトナム料理、いつか食べてみたいです。それでは、就職活動を始めたタイミングやエピソードについて教えていただけますでしょうか。」

ヴィさん
「本来2021年3月に留学を終え帰国する予定だったのですが、またもコロナウイルスの影響で、ベトナム行きの飛行機が飛ばなかったんです。その際、私の助けになってくださったのが、茨城県ベトナム友好協会の村田みのり事務局長でした。協会でお手伝いをさせていただきながら、部屋の確保までしていただきました(外国人技能実習センターに住まわせていただきました)。その中で、協会と関係のあった関彰商事㈱を就業先として繋いでくださったんです。

岡本さま
「先ほど上村が言っていたように、弊社にはベトナムに法人を持っています。10年ほど前から海外進出の計画をしており、素晴らしい経済成長を遂げているベトナムに法人を持つことを決めました。また、会社の成長のためには”多様性”を取り入れることが不可欠だと思っています。このように、海外での新たな可能性の模索や、様々な視点を取り入れるために外国人の登用には積極的でしたので、村田さんからお話をいただいた時も非常に前向きでした。実際にヴィさんにお会いして、私含む管理職のほとんどと会話をしてもらったのですが、真面目で明るく、何より高い日本語力を持ち合わせていて、すぐにでも採用させていただきたいという気持ちになりました。」

ヴィさん
「そう言っていただけて光栄です。ありがとうございます。」


新妻
「貴社の先進的な経営方針も伺うことができて大変参考になります。現在、ヴィさんのような外国語を母語とする社員は何名いらっしゃるのでしょうか?」

田中さま
「外国籍の社員が入社するまでの弊社は、地元出身の社員が殆どを占めていましたが、異なる視点の発想が相乗し合うことで生み出すイノベーションに期待して、外国人社員の登用を進め、現在ではヴィさんも含め約30名の皆さんとともに働いています。自動車整備士や介護スタッフ、DX(デジタルトランスフォーメーション)やシステム開発に携わる部署に関わるメンバーなど職種は多岐に分かれています。国別で言えばやはり現地法人をもつベトナムが多いですね。ベトナムの魅力は、視察に行ったメンバーは皆、口を揃えてベトナムの活気に感銘を受けていました。まるで日本の高度成長期を見ているようだという話も良く聞きます。そんなベトナムに会社を持つことができましたので、人材紹介・システム開発・海外進出支援等のコンサルティング業務を加速させ、さらに勢いをつけていきたいですね。」

新妻
「そうなんですね。ヴィさんは今年3月から正式に入社する運びになったとお伺いしていますが、どのような部署・職務内容で働いてもらおうと思っているのでしょうか。」

田中さま
「ヴィさんが配属されたのは『総合企画部 事業開発課』という部署です。先ほどからお伝えしている弊社の『セキショウベトナム』における支援や新規事業について考えてもらう役割を担ってもらいます。ベトナム人であるヴィさんだからこそのアンテナの高さをもって海外の情報収集をしてもらったり、既に日本語でのコミュニケーションも堪能なので、他部署との連携を上手に進めてもらったり、国内外への弊社PRをしてもらうことも期待しています。

職務に励むヴィさんの様子。部署には同じベトナム人の先輩女性社員もいるので、相談しながら業務を進めているそう。ヴィさんは自分の意思をはっきりと伝えてくれるので、周囲の人も新たな気づきを得られることが多いとのこと。


新妻
「大学時代に、ベトナム文化を日本人に紹介していた経験なども活かされてきそうですね!では、最後に皆さんから一言あればお願いします。」

ヴィさん
「留学期間から就職までは、コロナをきっかけに色々なことがありましたが、様々な人の温かい助けにより、今日関彰商事㈱の一員として働けていること、本当に嬉しく思います。ありがとうございます。」

岡本さま
「今日のインタビューでは、ヴィさんについて初めて知れたこともありました。改めて、今回のヴィさんとの出会いに感謝するとともに、茨城キリスト教大学とも、引き続き連携を深めていければと思っています。具体的には、リカレント教育(社会人の学び直し)の場を提供いただく話が進んでいます。かつて“英語のシオン”と呼ばれ、グローバル教育に力を入れる茨城キリスト教大学は、更なる海外進出を企図している弊社にとって非常に強力なパートナーになり得ると考えています。早速、今年6月より英会話に特化した勉強の場を設けてもらうことになっています。引き続き、よろしくお願いいたします。」



ヴィさん、関彰商事㈱の皆さん、ありがとうございました!

茨城キリスト教大学は、「隣人愛」を基盤として、グローバルな視野をもって地域社会に貢献できる人間を育成することを目指しています。海外からの留学生が、豊かな学びとともにこの地域で活躍する姿は、まさに「世界とつながる」学園建学の精神が形になったものです。引き続きのご支援とご協力をよろしくお願いいたします。