学校法人茨城キリスト教学園

【インタビュー】
大学&認定こども園の連携教育~総合学園のメリットを生かした学びの展開~

キリスト教の教えに基づいた保育や、“遊び”を中心とした教育により、子どもたちの成長を育んでいる認定こども園。学びの一環として、茨城キリスト教大学との連携による教育が展開されていることも大きな特徴です。今回は2回に分けて、その取り組みをご紹介させていただきます。

今回ご紹介する連携教育の事例は、大学文学部児童教育学科・天野秀哉准教授による表現教育活動『運動遊び』。
今年度初めて取り入れられたプログラムで、大学北体育館の広々としたスペースや体育用具を使って体を動かすことができる貴重な機会となっています。

こども園みらい園・せいじ園の年中組を対象に、2種類の遊びを体験しました。

『玉入れ鬼ごっこ』

鬼役の天野先生に捕まらないようにしながら、紅白の玉をどちらが多く先生の背負うかごに入れられるか、という遊び。
“投げる”と“走る”という2つの動きを組み合わせた運動と、“走り続ける”という、持久性を持った運動を並行して行うことにチャレンジしています。

一生懸命動いて勝った白組は喜びを体いっぱい表現していました。
負けてしまった赤組も、拍手を送る園児や悔しさに顔をゆがめる園児と、感情の表し方は様々でした。
 

『ねことねずみ』

「ね…ね…」天野先生が園児の様子を見ながら言葉をつぶやこうとしています。
“ねこ“といわれたら赤組が、“ねずみ“と言われたら白組が、相手を追いかけ、捕まえるこのゲーム。
体いっぱい動く先ほどの遊びとは違い、頭の中で単語の情報処理をしながら瞬発的に相手チームを追いかける動きが必要です。


先ほどの玉入れよりも少し難しいルールに園児たちも不安げな表情。
それでも、実際に取り組んでいるうちに、ルールを覚え、最後はみんなで楽しく体育館内を駆け回っていました。

授業を終えたばかりの天野先生に、今回の連携教育について伺ってみました。

茨城キリスト教大学 児童教育学科 天野 秀哉先生

新妻
「本日はお疲れさまでした。今回、大学と認定こども園でこのような連携教育が展開されるようになった経緯を教えてください。」


天野
「認定こども園から、かねてより“園庭よりも広いところで園児に体を動かす機会を与えてほしい”という声を伺っておりました。また、私たち大学教員はもちろん、大学生も、社会に出たら実際に接することになる子どもたちと触れ合う機会はそう多くありません。そうであれば、双方のニーズをかなえるための連携教育を展開することが得策ではないかと思い、実現しました。」

新妻
「そうだったんですね。今回実施するうえで工夫した点や大変だったことはありますか?」


天野
「一番に検討したのは、認定こども園のニーズに適切に応えることでした。“体いっぱい動く機会を与えたい”というニーズの他に、当然ですが“ケガをしないようなもの”、そして、園児の集中力などを鑑みて“30分程度のプログラムにしてほしい”という要望がありました。動き回らせるのとケガをさせないという、相対する要望をかなえるために、屈むような動作がない遊びを選んだり、衝撃の吸収性が高いマットを用いるようにしました。」

「同じプログラムを4クラス分やっていると、改善点もいくつか出てきたので、そういった微修正は随時行いました。しかし、教科書に書かれている当該年齢の身体能力値と、実際の園児たちは必ずしもイコールではありません。もっと言ってしまえば、みらい園とせいじ園、また、クラスによっても雰囲気やできること・できないことが違うので、結局は毎回0から新鮮な気持ちでやるぞ!という心持ちで行いました。」


新妻
「ありがとうございます。最後に、今回の連携教育を終えたうえでの天野先生の感想と、今後の展望があれば教えてください。」

天野
「通常の保育の現場には私たちのような体育学を専攻した人はいないので、運動のスペシャリストの目線で園児の発育に関わることの必要性を感じました。また、今後は単発ではなく、ある学年の園児たちの1年間に寄り添って、月齢ごとにできることにあわせた運動プログラムを展開してみたいです。その時には、私が受け持つ学生も一緒に、大学生の学びと実践の機会も提供していきたいです。大学の体育館にはたくさんの用具がありますので、色々な楽しい授業ができると思っています!」

天野先生、ありがとうございました。


今回の連携教育を受けて

今回、大学の天野先生にご指導いただいたことで、普段の保育では取り入れない内容の遊びに触れることができました。中でも、“ルール”が存在するゲームもあったので、遊びながら、“規則”そのものについて学べたことは貴重な機会でした。
せいじ園の園児たちは、バスに乗って憧れの大学構内へ行き、広い体育館で身体を動かす特別感や面白さを十分に感じたため、終始笑顔で楽しい時間を過ごしていました。「楽しかった」「面白かった」「また行きたい」など、帰りのバスの中で会話が止まらない程、楽しかったようです。
普段から私たち保育者が心掛けていることですが、子ども達に物事を伝えるときは、“教える”ではなく、“聞きたい・やりたい”といった子どもの欲求をくすぐることが大切だとより実感しました。ありがとうございました。

認定こども園 せいじ園 副園長・担任

 

茨城キリスト教学園では、総合学園のつながりを活かした<幼・保・大連携による実践的な児童教育>をますます盛んにし、園児と大学(教職員・学生)双方の成長機会の提供を図っていきます。