学校法人茨城キリスト教学園

【インタビュー】大甕駅徒歩2分!テレワークサテライトオフィス『micakel(ミカケル)』~地域の枠を超えてつなげる仕組みづくり~

今年4月、本学園最寄りの「大甕駅」東口から徒歩2分の場所に、思い思いの時間が過ごせるテレワークサテライトオフィス『micakel(ミカケル)』がオープンしました。本学園との交流も視野に入れた上で設計されたそうで、現在立ち上げメンバーとして勤めているのは本学OG・栗田さんです。今回は、micakelや栗田さんのご紹介や、今後期待している本学園とのつながりについてインタビューさせていただきました。

今回お話を伺った、micakelを運営するCANVAS合同会社
代表社員 佐々木雅史さん マネージャー
栗田かおりさん(元・大学生活科学部食物健康科学科助手)


micakel(以下:ミカケル)とは

  • 日立市内5番目の創業者支援施設(マイクロクリエイションオフィス※)
  • ※新型コロナウイルス蔓延に起因した都市部から地方への人の流れに着目し、テレワークやサテライトオフィスを可能にする環境を整え、新たな働き方を可能にする施設

  • 名称について
  • 大みかの「ミカ」と「掛ける(カケル)」から、当施設が地元企業や学生、移住者などと掛け合うことで新しいものを生み出していくという目的とされていることに由来。他にも、描ける(地域の新しい絵を描く)、 駆ける(他地域に先駆ける)、 翔ける、架ける(他地域に橋を架ける)のニュアンスも含んでいる。



新妻
本日は貴重なお時間いただきありがとうございます。初めに、ミカケルができるまでの話について詳しく聞かせてください。この物件は、日立市の創業支援施設ということですが、どのような発想を起点に設計し出したのでしょうか?

佐々木さん
意識したのは、「移住・定住という言葉だけを最上段に置いて設計しないことでした。創業支援施設は、市の協力(国からの補助金)があった上で建てられる物件です。支援元の国や市の「移住・定住者を増やす」という目的だけで建物を建てようと思うと、差別化できる点が無く、全く持って魅力ある物件にならない。

言い換えると、移住・定住者が増えるような地域のニーズに合う魅力ある施設を造るために、「大みか地区の“地域性”は何か?」を徹底的に考えました。そして、地域性を考える上でのベースとなったのが、茨城キリスト教学園でした。特に、大学では、共生社会を目指して現代社会のニーズに応える専門的な栄養士や保育士などの専門的な知識と技術を身に着けることができます。大みかと言えば、「食」「保育」というキーワードが挙げられるのではないかと考えました。


そこから、それらキーワードを活かして、「ママ目線の子育て支援ができる施設」を創っていこうという流れになりました。

そのように舵を切ったキッカケはいくつかあるのですが、大きなところで言うと、私のSNS上で知り合いのママさんが「子どもが子どもでいる時期は今しかない。しかし仕事も頑張りたい」という投稿をしていたのを見たからですかね。今の日本って、まだまだ“子育ては母親がやるものである”という意識があると感じています。茨城県北地域も、子ども目線での支援の場(子どもの遊び場提供など)は比較的あるように思いますが、一方で“ママ目線の場”は少ないと感じています。

だから私は、ママへの「ごほうび」と併せた託児環境を整えたいと思ったんです。認可された託児施設は、実は特別な理由が無いと、単なるママの休息・ごほうびだけでは、子どもを預けるのが難しかったりするんですよね。ミカケルは、“ちょっと気を抜いてもいいんだよ”とママに思ってもらえるような施設でありたいんです。ミカケルの1階は、広い空間と柔らかな光で快適な託児環境を実現しています。どうしても仕事を切り離せないパパでも、子どもを見ながらPC作業ができれば、育児ができるイメージが湧きますよね。そして2階はママへのご褒美の場。ミカケルにおけるごほうびこそ、“食”です。1階と比べて少し暗くて落ち着いた内装・インテリアを使いながら、カフェやバーのような造りにしています。キッチンがあるのもこのコンセプトからです。


<1階>

 
 

<2階>


新妻
本学園のリソースから大みかの地域性と言えるキーワードを言語化し、建物にしていったのですね!本学園がミカケルと共創する必然性を感じます。

佐々木さん
本当にそうなんです(笑)。イメージしやすい関わり方で言うと、児童教育学科の学生に預かり保育の役割をお任せしたり、食物健康科学科の学生にごほうび食のレシピを考えてもらう…なんてことが考えられますね。しかし、共創の“はじめの一歩”としては、まずは色々な方に足を運んでほしいですね。先ほど、「ママさんに“ちょっと気を抜いてもいいんだよ”と思ってもらいたい」と言いましたが、私は別な言葉で「自分にOKを出せる人を増やしたい」と言うことが多いです。「ミカケルだったら、ありのままの自分でいてOKなんだ。喋っても喋らなくても、何かやってもやらなくても。」と思ってもらえたら幸いです。

新妻
そのように、ありのままの自分を受け入れてくれる場所であれば、本当に何かやりたくなったときに、手を差し伸べてくれる人も多いでしょうね。無理やり何かを押し付けなくても自然発生的に様々なモノ・コトが生み出されていくイメージが湧きました。佐々木さん、ありがとうございました。


ここからは、本学OGでミカケルの立ち上げメンバーでもある栗田さんにお話を伺いました。


新妻
佐々木さんに引き続き、よろしくお願いします。栗田さんはクリスチャンホーム育ちのクリスチャンだそうですね。改めてなんですが、クリスチャンの方における「聖書」ってどんな存在なんですか?私も入職して1年経ちましたが、まだまだクリスチャンの方の感覚などを理解できているかというと、そんなこともなく…。本筋からは逸れてしまうかもしれませんが、この記事の読者の方にはノンクリスチャンの方々も多いと思いますので、聞かせていただけたら嬉しいです。

栗田さん
聖書の言葉は、言うなれば「父や母のいうことを聞くのと一緒」という感覚です。こんなふうに生きたほうがいいよ、という指針で、その言葉を聞くと、何の迷いもなく「ああそうなんだな」と思って前に進めるんですよね。

新妻
分かりやすい例えですね!クリスチャンでいて良かったなと思うことってありますか?

栗田さん
神様のおかげで、自分の人生に対して変に責任を感じずに生きられるということですかね(笑)。聖書に書いてあることは、“良いことも悪いことも、起こるべくして起こる”という考え方が多いので、もちろん、人生における様々な選択は自分の意志で行うものの、いい意味で「きっとこれは神様がそうしろと言ってくださったのだ」とその選択に対する責任を放棄できるので、その先上手くいくか・いかないか…など考えることなく、選んだ選択に対し自信を持ってかまえられるんですよね。たとえ失敗してしまったとしても、それも神様が与えてくださった試練であると考えると、動揺しません。


新妻
言い換えると、気負わずに意思決定・行動ができるということなんでしょうね。失敗してしまったときも、栗田さんの言葉のように意味づけすれば、もはや人生における“失敗”は一つもないのかもしれませんね。参考になりました。次は栗田さんのキャリアのお話に移っていきますが、クリスチャンの栗田さんが本学に進学することはかねてより決まっていたのでしょうか?

栗田さん
いえいえ、私の第一志望は茨城大学でした。教育学部に進学し、教員になりたかったんです。親の意向として、あまり県外に出てほしくなかったというところもあります。ですので、茨城大学に落ちてしまった私は、家から近いという理由を取って、茨城キリスト教大学に進学しました。

そういうわけで、大学も3年生くらいまでは全くやる気が起きませんでした。しかし、キリスト教センターの「リエゾン・オフィス」で、“エントムート”と呼ばれる、なにやらみんなでおしゃべりしながらご飯を食べるという会があると聞き、なんとなく足を運んでみたんです。何回か通ううちに、それまで全く面識のなかった学生から「クリスチャンサークルを作らない?」と声を掛けられたんです。以降、リエゾン・オフィスおよびクリスチャンサークルは私の居場所になりました。国家試験勉強で疲れていても、この場所で様々な人と触れ合えば自然と癒されていました。

ミカケルでも“境界のないつながり”というキーワードを使います。私は「教育」「地域」「カフェ」「お菓子屋さん」「栄養士」などなど…やりたいことがとても多い人間なのですが、その起点はこの言葉にあるような気がしていて。人と人とが、地域と大学がつながるキッカケづくりをすることが好きなものの、実際につながりを作ること・作り続けることは案外難しいです。私が思うに、「食」という分野は…もっと言うと、「食」の中でも軽食が中心の「カフェ」は、“比較的低いハードルでたくさんの人と緩く関われる仕掛け”であると思っています。だから私はカフェに携わる(行く・自分で運営する)ことを続けているんです。そう思わせてくれた原体験こそ、リエゾン・オフィスのエントムートでしたし、現在はそれらキーワードをもとに設立されたミカケルに共感して働いているんだと思います。


栗田さんは、インタビュー同時期の5月18日(水)に学園キアラ館礼拝堂にて30分の奨励を行いました。クリスチャンである自身のキャリアの紹介を中心に、それらを象徴する聖句も併せて取り上げました。

栗田さんは本学卒業後、食物健康科学科の助手として入職します。助手の任期は5年。退職間際になっても、次の一歩の踏み出し方について悩んでいたようです。たくさんの「やりたい」を追いかけるか、妥協してひとまず手に職を付けるか…焦りはあるものの、彼女が選んだのは「せっかく働くならやりたいことをやる」という道でした。
そんなとき、ひょんなことから友人のFacebook経由で佐々木さんが代表を務めるCANVAS合同会社が造った、ミカケルとは別のシェアキッチンスペースの話を目にします。普段積極的にFacebookを見ない栗田さんにとって、たまたま目に入ったこの記事に、運命めいたものを感じたそうです。
勇気を出して一歩踏み出し、佐々木さんに話を聞きに行くと、「シェアキッチンもだけど、ミカケルという建物が数か月後にオープンするよ」という話を聞くのです。栗田さんはこの時の気持ちを、学園正門の石碑にも刻まれている「求めよ、さらば与えられん。(マタイによる福音書7章7~12節)」の言葉を使って表現します。


「本当にやりたいと思うことを心から願い・祈り・行動すれば必ず必要は与えられると感じました。」
「自分の本当のやりたいことを考え抜き、そのあとは外に出ていろいろな人と出会ってほしいです。」

全ての人の自己実現を可能にできるミカケルは、栗田さんにとって、自身が好きなことと、自身の成功体験のための要素が詰まった場所です。本学園と地域のあらゆる人々を、ミカケルという場所が起点となって繋ぎ・共創できることを期待しています。




ミカケルの2階では、現在民間図書館を作っています。そして、図書館に併設のカフェ「book & cafe Shiori」が6/16からはじまります。ゆっくり本を読みながらでも、気軽な時間潰しの場としても1人でも、お友達同士でも気軽に利用できるような場所を目指しています。アットホームなお菓子とドリンク、そして月ごとにおすすめの本をモチーフにしたクリームソーダを楽しむことができます。

詳しくは各種SNSをチェックしてください。