
『聖書を引用する世界の著名人』の発行が決まった際に挿絵の依頼があり、快諾いたしました。モノクロの書籍なので、見やすさを考えて、ペン画を選択しました。私は以前にも、学園名物「ローガンファックスコーヒー」の箱絵(今回、原画を展示します)を描かせてもらったことがあります。こうして再び、学園発のものに私の作品を残してもらえることは大変嬉しく、関係者の皆様に深く感謝しています。
詩穂音のマスターは画家でもあり10数年来の友人です。私は茨城出身ではありませんが、人生で最も長くいるのが、ここ日立市になりました。第2の故郷である茨城の方と、こうして交友関係を続けさせていただけることを誠にありがたく感じています。詩穂音では、私の個展を過去2回開催させていただいています。いずれの回も、マスターと積極的に打ち合わせを重ねた上で臨ませていただいています。
そもそも、ペン画というのは白か黒の2色で絵画の奥行き・明暗等を表現しなければならない難しさがあります。そのうえ今回は聖書を題材にしたテキストの挿絵だったので、多くの資料を集めながら、当時使われていた文字や服装を確認しつつ描いていきました。また、著書のひとりでキリスト教の研究者である小幡幸和准教授には、何度も絵を観ていただき、宗教観のズレが無いか確認していただきました。何度も推敲を重ね、35枚の挿絵を書き上げるのに要した時間は延べ3カ月でした。しかし、大変なことばかりではなく、今回の経験で自分自身がより聖書の内容に興味が持てるようになったことは、大きな収穫です。また、著者4名の先生方の肖像を描かせていただいたことも貴重な経験となりました。
今回のテキストの発刊および本展覧会の開催は、新型コロナウイルス感染症の影響によりいずれも1年越しで実現しました。ようやく皆さまにお披露目ができますので、ご意見、ご感想をいただけることを楽しみにしています。35点の作品を一挙に公開させていただきますので、充実した展示空間が構成されることを願っています。聖書を身近に感じていただきながら、沢山の方々に作品をご高覧いただけますよう、お願い申し上げます。
学園ホームページでは今後、『聖書を引用する世界の著名人』についての詳細記事や、佃教授の個展の開催レポートをアップさせていただく予定ですので、引き続きチェックいただければ幸いです。