次の表 4 は、ある製品の強度と、製造工程における熱処理時間の関係を調べるために、熱処理時間 $x$ を 20 秒から 60 秒まで、10 秒ずつ変化させ、そのときの強度 $y$ を測定した結果である。同一の熱処理時間で製品を 3 個ずつ成形している。最適な熱処理時間を検討せよ。

表 4 プラスチック製品成形時の熱処理時間と強度
 
熱処理時間 $(x)$2030405060
強度$(y)$16317917615185
15618816914777
14919918313265
 

考え方と適用手法

既にみてきたように、まずは散布図により相関関係を吟味する。表 4 のデータ入力時には、$x$ に対する 3 つの $y$ をそれぞれ分解し、$x,y$ のペアが 3 つになるように用意する。ところが散布図(図 6)をみると、本データの場合、直線による当てはめ(図 6 中の点線)は妥当ではないことがわかる。このようなとき、多項式(曲線)への当てはめを検討する。

多項式回帰(Excel関数:LINEST, INDEX)

散布図の結果を検討し、次のような2次式(放物線)への当てはめを考える。

\begin{eqnarray} y &=& ax^2 + bx + c \end{eqnarray}

多項式(ここでは 2 次式の係数 $a,\ b,\ c$)を求めるには、Excel 関数:LINEST および INDEX を利用する。LINEST は求める多項式の複数の係数や決定係数等の統計量を返す配列関数であるので、度数を求める関数:FREQENCY と同様に特殊な扱いが必要となる。LINEST により求められた特定の係数を取り出すためには INDEX 関数を使用する。また、散布図上では [近似曲線の追加] により、近似曲線と曲線の式を求めることができる。

なお、先に取り上げた回帰直線(1 次式)の係数 $\alpha,\ \beta$ や 3 次以上の式の係数についても、この LINEST 関数により求めることができる。

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図 6 プラスチック製品形成時の熱処理時間と強度
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