次の表 8 は、ある工場における製品A,Bの製造に係る諸条件をまとめたものである。
患者 | 受付時刻 | 診療時間 | 患者 | 受付時刻 | 診療時間 | |
1 | 9:04 | 4 | 11 | 11:17 | 14 | |
2 | 9:17 | 16 | 12 | 11:39 | 11 | |
3 | 9:24 | 7 | 13 | 11:54 | 19 | |
4 | 9:49 | 10 | 14 | 12:01 | 5 | |
5 | 10:02 | 13 | 15 | 12:28 | 23 | |
6 | 10:18 | 11 | 16 | 12:32 | 14 | |
7 | 10:29 | 8 | 17 | 12:56 | 18 | |
8 | 10:36 | 21 | 18 | 13:08 | 24 | |
9 | 10:55 | 12 | 19 | 13:19 | 12 | |
10 | 11:04 | 19 | 20 | 13:36 | 17 |
タイムチャートを作成し、待ち行列の様子を分析せよ。
コンビニのレジや銀行、病院など、顧客と企業の接点に当たる窓口サービスには必ず待ち行列が発生する。待ち時間は双方にとって重要な問題であることはいうまでもない。通常、個々の客の到着間隔やサービス時間は不確定であり、分析は困難なものになる。
このような問題に対しては、実地調査によるデータ収集を行い、まずは確定モデルによる分析から待ち行列の様子を分析する。そして次に、確率モデルによるシミュレーションを行い、待ち行列の改善案について検討する。
横軸に時刻、縦軸に個々の客をとった横棒グラフをタイムチャートという。タイムチャートは横棒積み上げグラフの応用である。これにより待ち行列の様子が視覚的に把握できる。
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現実の世界では、患者がいつ受付をしどれだけの診療時間を必要とするかは分からない。そこで実地調査により、表 7 のようなデータをサンプリングすることになる。このデータだけでは実際に待ち行列が発生しているのかいないのかさえ分からないが、データは確定されているので、諸計算によりタイムチャート作成に必要な、患者の受付時刻、待ち時間、治療時間を得ることができる。
現実では窓口は混み合うときもあれば空いているときもあり、確定モデルはある一瞬を切り取っただけに過ぎない。そこで、表 7 から度数分布表を作成し、到着間隔と診療時間の確率分布を作成する。そして、Excel により発生させた乱数(Excel 関数 : RAND)と確率分布により、ある患者の到着間隔と診療時間を随時確定し、現実の患者の動向を確率的に再現することを試みる。これを確率モデルによるシミュレーションという。
確率モデルによるシミュレーションが可能となれば、立案した改善案の効果を予測することが可能になる。例えば、IT システムの導入による効率化により、サービス時間(診療時間)を現在の 8 割に短縮できるとなると待ち時間はどの程度変化するか。また、窓口(診察室)を 2 倍に増やすとどうなるかなど、改善にかかる費用と効果を事前に確認することができるのである。