研究・教育業績 
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著書

単共 発行年月 発行所・発行雑誌・学会 概要
日本文学研究大成「西鶴」 1989

国書刊行会

谷昭彦編集昭和4050年代を代表する西鶴研究論文を再録。染谷「『好色一代男』の成立とその経緯」を再録する。
新講日本の文学 1990 聖文社

清原和義・大輪靖宏他編集。上代から現代までの文学史を概述。特に時代の窓を設けることによって時代の大枠・流れを掴むとともに、時代ごとに作品の一部を列挙、直に作品に触れる配慮もした。染谷は近世の初期から元禄期までを担当(258~278PP)。

論集『近世文学3号』「西鶴とその周辺」 1991 勉誠社

檜谷昭彦編集。西鶴研究者の書き下ろし論文集。染谷は「『男色大鑑』の唯美性と観念性」を寄稿。『男色大鑑』が西鶴研究史上如何に不当な扱いを受けてきたか。また本作を見直す価値について詳細に論じた。(247〜275PP

講座『元禄の文学』第二巻 1992 勉誠社 浅野晃・谷脇理史他編。第二巻は元禄文学における小説(特に西鶴)に注目。染谷は「諸艶大鑑と西鶴諸国はなし」を担当。両作品の西鶴文学における位置について詳述した。
文化交流学への招待 1999 新典社 茨城キリスト教大学文化交流学科編。染谷は「インターネットは第三の空間」を執筆し、インターネット社会の可能性について論じた。
新編西鶴全集 共編 2002 勉誠出版 定本西鶴全集(中央公論社)になかった索引を完備した新全集。染谷は第二巻の『武道伝来記』の校注と解題を担当した。
文化交流学を拓く 2003 世界思想社 茨城キリスト教大学文化交流学科編の第二弾論集。染谷は「異文化摩擦を楽しむ」と「ホームページ、情報のハブ空港」を執筆。前者は日本と韓国の文化交流を通して見えてくる日韓の様々な問題を論じ、後者はインターネット上のホームページが21世紀になり胎動しはじめている文化にどう結びついているかを論述した。。
西鶴が語る江戸のミステリー 2004 ぺりかん社 西鶴研究会の企画出版。
西鶴の浮世草子の中からミステリーと呼ぶに相応しい短篇18を精選。染谷は『懐硯』の「人真似は猿の行水」を担当。


近代・近代性・近代文化


2005 明知大学人文科学研究所 研究所叢書第4号。染谷は「アジアの古典小説と大衆文化」と題する論文を執筆(p285〜312)。2004年10月に明知大で行われた研究会で発表したものを更に発展させたもの。
西鶴小説論
−対照的構造と〈東アジア〉への視界
2005 翰林書房 この時点までの、『男色大鑑』論、対照論、東アジア論の集大成
第一部 総論
第二部 西鶴と東アジア、そして十七世紀
第三部 西鶴のロマンスとユートピア
第四部 西鶴の空間、変転するコントラスト
西鶴浮世草子全挿絵画像(CD-ROM版) 共編(監修) 2006 笠間書院 『西鶴と浮世草子研究』(第1号)所収付録。西鶴の浮世草子作品24作と、西鶴が挿絵を書いた『近代艶隠者』の計25作品の挿絵とその解説を収録。染谷は加藤裕一と共に監修にあたった。
西鶴が語る江戸のラブストーリー 2006 ぺりかん社 西鶴研究会の企画出版。
『西鶴が語る江戸のミステリー』に続く第二弾。西鶴の作品からラブストーリーと呼ぶに相応しい短篇13を精選。染谷は『諸艶大鑑』「死なば諸共の木刀」を担当。
江戸文学の冒険 2007 翰林書房 大輪靖宏編、上智大学大輪研究室出身者による江戸文学の論考。染谷は「西鶴の越境力」を執筆。西鶴のことばを越えて絵にまで広がる創造力を浮かび上がらせる。
韓国の古典小説 共編 2008 ぺりかん社 鄭炳説との共編。韓国の古典小説(李朝時代に書かれた物語・小説類)の世界を、座談会、論文、代表作品20作の梗概と解説、参考文献などで詳述した。
西鶴諸国はなし 共編 2009 三弥井書店 西鶴研究会の企画出版、第三弾
染谷は編集担当。並びに巻一の五「不思議の足音」とエッセイ「定点観測の時代−動く芭蕉、動かない西鶴」を執筆。
論文 単共 発行年月 発行所・発行雑誌・学会 概要
『好色一代男』の成立とその経緯 1982/1

上智大学国文学会『国文学論集』15号

井原西鶴『好色一代男』の前半と後半との隔絶を巻五の一の吉野話を軸に本作の構成について新しい視点から説明した。本章末尾に、作品末尾に置かれる祝言があることや、巻五と六との断絶などから、本作は吉野と世之介の結婚話である本章を糊代として前半と後半が構成されていることがわかる。合わせて従来から諸説が紛糾していた巻六の目録の誤記についても新説を提出した。
『笈の小文』と謡曲『西行桜』             ──吉野の条における桜三句と苔清水の句をめぐって 1984/12

茨城キリスト教短期大学研究紀要24茨城キリスト教短期大学

松尾芭蕉の『笈の小文』吉野の条における桜三句と苔清水の句に対する新解釈を提出。四句の背後に謡曲『西行桜』の面影があり、芭蕉は謡いの持つ世界を用いることによって幻想的な句作りを試みたと考えられる。あわせて学会の論争点であった未定稿説と編集説の対立についても未定稿説の立場から見解を提示した。
西鶴の浮世草子と祝言(その一) 1985/3

茨城キリスト教短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』10茨城キリスト教短期大学

西鶴小説の成立を明らかにする資料として作品中に表れる祝言に着目。更に中世の商人と密接な関連を持っていたと言われる『文正草子』との影響関係について論じた。
『男色大鑑』の成立時期 1985/12

茨城キリスト教短期大学研究紀要25,茨城キリスト教短期大学

従来からの定説によれば、『男色大鑑』の成立時期は貞享三年の後半とされてきたが、当時の書籍目録や『好色伊勢物語』などの徴証からすると、本作はすでに貞享元年末近くには構想が持たれて執筆が始まっていた可能性が高かったことを論証した。
西鶴の浮世草子と祝言(その二) 1986/3 茨城キリスト教短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』11

西鶴小説の序章末尾に表れる祝言に着目。町人物の遺稿『西鶴織留』に如上の祝言が三カ所見つけられるところから、本作は三つの遺稿を取り合わせたものであることを論証した。

西鶴の浮世草子と祝言(その三)    

1987/3

茨城キリスト教短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』12

西鶴小説の多くが正月に出版されたことを重視することから、新しい作品論を試みた。従来『世間胸算用』は中下層町人の悲劇という評価のされ方が一般的であった。しかし、本作が正月の読初として出版されたことはもっと重視されなければならない。本作を正月出版という観点から新たに読み直すとどのような世界が現れてくるかについて論述した。
『男色大鑑』の成立過程 1987/12

茨城キリスト教短期大学研究紀要27号,茨城キリスト教短期大学

従来,『男色大鑑』の成立過程についてはほとんど問題にされてこなかったが、本作を精査した時、本作が三段階を経て成立したことを示す徴証を見出すことができる。さらにこの三段階説は、前稿「男色大鑑の成立時期」の結論を別の観点から補強するものになる。
西鶴の浮世草子と祝言(その四) 1988/3 茨城キリスト教短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』13 西鶴小説の祝言性がもつ喜劇性を強調するとともに、西鶴の持つ戯作者的側面を浮かび上がらせた。

死ば諸共の木刀考───「きびしき男」の物語

1988/12 茨城キリスト教短期大学研究紀要28 西鶴の第二作『諸艶大鑑』中の名篇と言われる「死ば諸共の木刀」を取り上げ、近代的解釈が施されていた主人公半留の人物像を西鶴の言葉である「きびしき男」から再評価した。

阿古王と阿古屋(上)──中世の遊女、阿古王のダイナミズム

1990/12

シオン短期大学研究紀要30

近松の『出世景清』に大きく影響を与えた中世物語『景清』の重要人物阿古王を取り上げ、この人物に中世遊女の実態が大きく影響していることを論証した。
阿古王と阿古屋(下)─近世の遊女、阿古屋の内面性とルサンチマンの心性 1991/12 シオン短期大学研究紀要31

前稿の結果をもとに近松『出世景清』の阿古屋像を再検討した。阿古屋には近世の遊女が持つ内面性を豊かに保持していることを論証した。

元禄期におけるイエの確立と近松の世話浄瑠璃──元禄町人の心性と世話物の歴史性

1993/12 シオン短期大学研究紀要33

近松の世話浄瑠璃と元禄当時の庶民における生活様式の関係を論じた。元禄期におけるイエ意識の浸透と、近松劇の深い関連を指摘した。

近松と現在をつなぐもの 1994/3 シオン短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』19

日本の古典に独特の視座を持っていた小説家坂口安吾の評言をもとに、今何故近松を論じる必要があるのか、近松の今日的意義について論じた。

戦争と日本の文化    ──『平家物語』と『ローランの騎士の物語』に見る美意識 1994/3 シオン短期大学総合雑誌『創造』23 日本中世の語り物『平家物語』とフランス中世の騎士物語『ローランの騎士の物語』の比較文化・文学的考察。『平家物語』が戦争文学として如何に特異な存在であるかを指摘した。

西鶴と元禄のセクシュアリティ──女色と男色の対極性を中心に

1995/3 シオン短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』20 西鶴の好色物における創作意識の変化が、単一でリニアーなものではなく、女色と男色の両輪で広がりをみせていたことを指摘した。また元禄という時代相から好色物の作品群を捉え直すことを試みた。
『好色一代男』の「一代」  ─寛文〜元禄期における高度経済成長とイエ意識の確立を背景に 1996/1 上智大学国文学会『国文学論集』29 従来から見過ごされてきた『好色一代男』の「一代」性について新見を提示。本作の「一代」性には寛文から延宝期の時代性が大きく影響を与えていることを指摘した。
西鶴のリテラシー         ── 〈はなしの姿勢〉批判と『西鶴諸国はなし』二篇 1996/3 シオン短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』21

従来、西鶴の基本的方法とされてきた「はなし」の方法に対して検討の必要性を強調した。「はなし」の方法が顕著に表れている『西鶴諸国はなし』においても西鶴の書く意識(リテラシー)が重要な意味を持つことを指摘した。

分水嶺としての浄瑠璃競作──貞享二年の西鶴と近松 1996/12 シオン短期大学研究紀要36 貞享二年に行われた西鶴と近松の浄瑠璃競演の意義について論じた。従来この競演については事件性にスポットが当てられがちだったが、ここに表れた両者の違いは元禄期に表れた多様な価値観の存在とその分水嶺を示していたことを強調した。
近松の世話物と三人の徳兵衛──〈徳兵衛〉という悲劇 1997/3 シオン短期大学日本文学科研究紀要『日本文学論叢』22 近松の世話浄瑠璃に登場する三人の徳兵衛が、当時の商人・町人たちの背負っていたイエ制度を象徴的に具象化していることを指摘。近松の対イエ意識が何によってもたらされたのかについても論じた。

黄昏の「吉蔵三助がなりあがり」―――近松『五十年忌歌念仏』の<悪>とその時代

1999/12 シオン短期大学紀要39 近松門左衛門作『五十年忌歌念仏』の作品論。従来低い評価に甘んじていた本作を、敵役勘十郎の行動に焦点を据えることによって見直そうとした。元禄当時の社会状況からも勘十郎の時代性を捉え直した。
「玉章は鱸に通はす」考―――『男色大鑑』の恋愛空間 1999/12 茨城キリスト教大学紀要33 西鶴作『男色大鑑』の当該篇は優れた評価をうけつつも同内容の写本との関連で西鶴のオリジナリティに問題があるとの指摘があった。本稿ではそれを精査することによって、西鶴の独自性を見極めるとともに、そこに西鶴独特の男色への視座を見据えようとした
遊女・遊郭と「自由円満なる」世界 ― 井原西鶴『好色一代男』を中心に 2000/10 日本文学協会『日本文学』10月号 藤本箕山の遊女評言「自由円満」をキーワードにして、近世前期の遊女・遊郭が保持していた世界観を考察。西鶴の『好色一代男』の持つ世界の再評価を試みた。
『椀久一世の物語』と大坂 2000/12 茨城キリスト教大学紀要34 西鶴作『椀久一世の物語』は従来、主人公椀久の性格造形を元に論じられてきた。しかし、本作に表現された土地や場所の名前を精査するとき、本作の持つ別の一面が現れてくる。それは当時の大坂という都市が持っていた都市性である。椀久の人間像はそのことを抜きにして考えることは出来ない旨を論じた。
西鶴と其磧 時空の変容 2002/3 茨城キリスト教大学言語文化研究所紀要「シュンポジオン」7号 西鶴とその後の浮世草子界を背負った江島其磧との比較論。特に二人が活躍した時代の違いを重視し、その時代性の相違から表れてくる二人の文学世界の位相を明らかにしようと試みた。
「好色」かつ「一代男」たることの至難について 2002/5 日本文学協会『日本文学』5月号「読む」欄 「好色一代男」という題名が矛盾を含む題名であることを指摘するとともに、その矛盾こそが本作の原理として、作品の中心にあるかを論じた。
女色と男色のコントラストとコラボレーション-『好色五人女』の縦糸と横糸 2003/3 茨城キリスト教大学言語文化研究所紀要8号 西鶴の『好色五人女』の構造分析。この作品に表れた西鶴の作家としての源基的イメージを追究した。
『世間胸算用』の構造―――「身のうへ物がたり」という仕掛け――― 2004/3 茨城キリスト教大学言語文化研究所紀要9号 西鶴の『世間胸算用』の構造分析。西鶴晩年に現れた独特な小説作法を追求して、西鶴晩年の意義を考えた。
東アジア古典小説比較論―――日本の『好色一代男』と韓国の『九雲夢』を中心に――― 2004/4 青丘学術論集 第24集(韓国文化研究振興財団) 鄭炳説(韓国ソウル大学・韓国文学専攻)、エマニュエル・パストリッチ(米国イリノイ大学・東アジア文学専攻)との共同研究。染谷は「序」の「根源としての〈東アジア〉、そして日韓」、および「『好色一代男』と『九雲夢』に関する二つの問題―――『九雲夢』と仏画・曼荼羅の関係を論じて、『一代男』との比較論に及ぶ」を執筆。後者では特に『一代男』と『九雲夢』をアジア小説の中で位置づけることを試みた。
半兵衛とは誰か―――武家と商家の臨界点 2004/6 江戸文学30号、ぺりかん社 近松最後の世話物『心中宵庚申』の主人公半兵衛像の分裂を、当時の社会状況であった武家と商家のコンフリクトという視点から説明しようと試みた。
東アジアの古小説と仏教−『九雲夢』と『好色一代男』の比較 2004/12 韓国古小説学会『古小説研究』18号(韓国) 『九雲夢』と仏画・曼荼羅の関係、並びに『好色一代男』と庶民仏教・法華宗との関係ろ論じる。翻訳黄東遠氏、鄭炳説氏。
西鶴この一行 2005/3 『国文学解釈と鑑賞、別冊「西鶴、挑発するテキスト」 木越治氏編、染谷は「西鶴この一行」において『武道伝来記』巻五の三「不断心懸の早馬」の一文を取り上げて批評した。
日韓大衆文化の源泉 ―――日韓の古典小説の比較から 2005/3 茨城キリスト教大学言語文化研究所紀要10号 2004年10月、韓国龍仁にある明知大学龍仁キャンパスで行われた明知大学・桜美林大学・茨城キリスト教大学の三大学による合同研究会において口頭発表した内容をまとめたもの。
『冬の恋歌』が開いた世界、閉ざした世界 2006/12 ソウル大学校 奎章閣韓国学研究院 日本の韓流ブームの火付け役となったテレビドラマ『冬の恋歌』の光と影の分析。2005年秋に同大学で行われたフォーラムでの研究発表を文章化したもの
『九雲記』に描かれた日本軍と東アジア世界−『九雲夢』との関係を踏まえながら 2007/1 上智大学国文学論集40号 朝鮮古小説『九雲夢』の改題増補本とされる『九雲記』に記述された日本軍の描写の紹介と分析。
研究史を知る『世間胸算用』 2007/10 『西鶴と浮世草子研究』2号 戦後の動向を中心にした『世間胸算用』の研究史を概観した。
怪異物挿絵大全『御伽百物語』解説 2007/10 『西鶴と浮世草子研究』2号 近藤瑞木・佐伯孝弘編のCD版。西鶴以外の浮世草子の中から怪異作品を取り上げて、その挿絵を網羅、解説を付したもの。染谷は青木鷺水の『御伽百物語』を担当した。
情報戦としての心中―『曽根崎心中』の評判・沙汰・噂 2008/1 日本文学協会『日本文学』 近松の世話浄瑠璃第一作『曽根崎心中』に元禄当時の高度情報化社会が色濃く投影されていたことを指摘。特に、従来から唐突と評されていた敵役の九平次像にも、元禄〜享保の手代層の反乱事件が影響を与えていたことも指摘した。
天下要衝の哲婦−朝鮮時調の世界 2009/11 国学院雑誌、平成二十一年十一月号 特集「歌謡の時代」。日本を中心にアジアの歌謡についての論文37本を集める。染谷は朝鮮時代の時調について解説を試みると同時に、妓生の黄真伊の時調について新解釈を試みた。
書評・学会時評・座談等

学会時評 平成五年国語国文学界の展望(2) 近世「仮名草子」

1995/3 全国大学国語国文学会『文学・語学』第145号(2627PP) おうふう社 平成5年度の近世文学研究の学会時評。「仮名草子」を担当。平成5年に提出された仮名草子研究・論文中の優れたものを取り上げて論評を加えた。
『日本文学』2004年度編集報告 2005/2 日本文学協会『日本文学』 2003年10月から2004年9月までの編集報告(近世担当)
書評 広嶋進『西鶴探求−町人物の世界』 2005/2 日本文学協会『日本文学』 広嶋進氏の同著の書評
書評 森田雅也『西鶴浮世草子の展開』 2006/10 日本文学協会『日本文学』 森田雅也氏の同著の書評
座談会 西鶴と浮世草子研究 2006/11 リポート笠間47号 篠原進(司会)・長島弘明・中嶋隆・河合真澄・塩村耕との座談
学会時評「近世前期小説」(2005・2006年度) 2008/3 全国大学国語国文学会『文学・語学』 2005年・2006年の近世小説(前期)の研究動向とその批評。仮名草子、西鶴、浮世草子の三項目を立てて叙述した。
書評、梅山秀幸訳『太平閑話滑稽伝』 2009/6 『図書新聞』 徐居正著の稗官小説(漢文説話集)『太平閑話滑稽伝』の批評。
座談会 「日本」と「文学」を解体する 2009/11 リポート笠間50号 小峯和明(司会)・ハルオシラネ・ツベタナクリステワ・錦仁との座談
学会・研究会発表
発表テーマ 単・共 発表年月 発表場所 概要
男色大鑑の成立時期 1984/ 1   上智大学国文学会 本作がすでに貞享元年末近くには構想が持たれて執筆が始まっていた可能性が高いことを、様々な資料をもとに論証した。

阿古王と阿古屋──中世の遊女、阿古王のダイナミズムと近世の遊女、阿古屋におけるルサンチマンの心性

1992/ 1 上智大学国文学会 近松作『出世景清』と舞の『かげきよ』を比較しながら、両者の位相を捉え直し、夫々の作品の可能性を捉え直した。

『好色一代男』と奇跡の時代──寛文〜元禄期、畿内における高度経済成長とイエの確立を背景に 

1995/ 7   日本文学協会 第15回発表大会 『好色一代男』の「一代」性について新見を提示。本作の「一代」性には寛文から延宝期の時代性が大きく影響を与えていることを指摘した。

西鶴のリテラシー ──〈はなしの姿勢〉批判と「不思義のあし音」の解析

1995/ 9 西鶴研究会 第1回 従来、西鶴の基本的方法とされてきた「はなし」の方法に対して検討の必要性を強調した。「はなし」の方法が顕著に表れている『西鶴諸国はなし』においても西鶴の書く意識(リテラシー)が重要な意味を持つことを指摘した。
「玉章は鱸に通す」考  1998/3   西鶴研究会 第8 西鶴作『男色大鑑』の当該篇は優れた評価をうけつつも同内容の写本との関連で西鶴のオリジナリティに問題があるとの指摘があった。本稿ではそれを精査することによって、西鶴の独自性を見極めるとともに、そこに西鶴独特の男色への視座を見据えようとした
西鶴と其磧 時空の変容 2000/3 西鶴研究会 第12 西鶴とその後の浮世草子界を背負った江島其磧との比較論。特に二人が活躍した時代の違いを重視し、その時代性の相違から表れてくる二人の文学世界の位相を明らかにしようと試みた。
『日本永代蔵』の「永代」 2002/8 西鶴研究会 第15 『永代蔵』に見られるイエ意識の意味を西鶴と西鶴以降の浮世草子作品から導き出した。
『好色一代男』と『九雲夢』に関する二つの問題―――『九雲夢』と仏画・曼荼羅の関係を論じて、『一代男』との比較論に及ぶ 2004/2 韓国古小説学会第64回大会 当該作品について東アジアの一夫多妻観と仏教教義の背景という点から論じた。
日韓大衆文化の源泉−日韓古典小説の比較から 2004/10 韓日国際学術シンポジウム第3回大会 西鶴と金萬重の小説の比較から、日韓に大衆文化にどのような問題が歴史的背景として内在しているのかを論じた。

 西鶴と西浦 日韓比較文学史の可能性                   

2005/9 日本比較文学会9月例会 日本と韓国の古典小説の比較が、どのような新しい東アジア文学史を切り拓くのか、その可能性について論じた。
[冬の恋歌」が開いた世界、閉ざした世界 
2005/11 ソウル大学校、韓国文化研究所、100回記念大会 日本での韓流の火付け役となったテレビドラマ「冬のソナタ」を功罪の両面から分析し、このドラマの持つ問題性を明らかにした。
方法としての〈東アジア〉 2006/4 韓国日本文化学会2006年度春季学術大会、招請講演 アジアや東アジアが注目される近年、その枠組みを実体としてよりも、各国のナショナリズムを克服する方法として用いることの重要性と、そうした方法を駆使して源氏物語や西鶴小説をどう捉えるかについて論じた。
十七世紀東アジアの恋愛小説と西鶴の『男色大鑑』 2006/9 国際日本文化研究センター(京都)、共同研究会(テーマ「性欲の文化史、代表井上章一氏) 西鶴の『男色大鑑』が東アジアの男色文化の中でどのような位置を占める可能性があるかを指摘した。
天狗源内論 ― 近世漁業のイストワール 2008/8 西鶴研究会27回 『日本永代蔵』巻ニの四「天狗は家名風車」の背景に近世漁業(鯨猟)の中世から近世に至る発展成長的な歴史語りが隠されていることを指摘。論証した。
『九雲夢』と『好色『一代男』』 2009/5 西浦金萬重先生追慕国際学術シンポジウム(韓国、南海) 西浦金萬重の文学の特色を、中国の儒学者(李卓吾など)や小説家、日本の儒学者(伊藤仁斎など)や小説家(西鶴など)と比較することから浮かび上がらせた。金萬重が優れた学者であると同時に優れた通俗小説を書いた、その両面性多面性こそ高く評価すべきだと結論した。
引き裂かれた護符−『剪灯新話』の日韓への影響と、東アジア文学研究の時代 2009/7 韓国日本学連合会、第7回学術大会 大会のシンポジウム(古典)で発表。テーマは「韓国における日本学、日本における韓国学、研究の現況と展望」
染谷は『剪灯新話』が朝鮮・日本・ベトナムなどへどう伝わったのか、とくに日朝への伝播の仕方の違いに注目、日朝の怪異観の違いが噴出していることを論じた。
西鶴と東アジアの海洋冒険小説―鄭和・宋江・李俊・洪吉童・世之介・世伝 2009/10 韓国日本文化学会第35回国際学術大会 『一代男』の末尾において女護島に渡った世之介を忘れ形見の世伝がなぜ『二代男』の冒頭で否定したのかを、東アジア全体の海洋冒険小説から炙り出そうと試みた。
日本近世文学を東アジアから考える-韓半島から東・南シナ海の海洋域を見渡しつつ
2010/3 新潟大学19世紀学研究所シンポジウム−ヨーロッパ・半島・日本: 新しい「文化学」の構築を目指して アジアや東アジアの海洋域を基盤にして日本の近世文学や文化をどう見るのかについて私見を提示した。
委員・役員歴
日本文学協会委員 1995〜(断続)
日本文学協会運営委員 2002〜2006
全国大学『文学・語学』編集委員 2008〜
日本近世文学会委員 2007〜
韓国日本文化学会海外理事 2008〜