食のフォーラムV開催される
2004年12月18日、食物健康科学科主催による「食のフォーラムV」が開催された。
第五回目にあたる今回は会場をキャンパスに移し、学内外から約200名が参加し活発な質疑応答など、熱気溢れる会となった。
前段は、つくばにある独立行政法人森林総合研究所の理事で日本林学会会長の桜井尚武氏による
「食環境としての森・森の不思議」の基調講演が行われた。桜井氏は、雑食動物として進化した人間にとって
生物多様性の存続こそ重要であるという国の総合科学技術会議の報告を紹介し、持続可能な生物資源の利用のための森の重要性を説いた。
食物の宝庫である森を活用しているヨーロッパやアジアの状況、中国黄河文明やシュメール文明にみる文化が
自然を滅ぼし森を砂漠化した事例、ブラジル・アシスのサトウキビ畑や日本の嬬恋村のキャベツ畑のように開発が森を一変させた事例、
落葉のゴミ処理を例にとり土壌生成のサイクルの崩壊が始まっていること、里山やムラの自然を使い回す生活の合理性、
木や山菜の基礎知識の普及の大切さと自立的思考の薦めなど、森や里山に関する氏の考え方をスライドを使いわかり易く説明した。
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後段のパネルトーク「森(里山)を活用した食教育」は、桜井氏と本学の小林彰夫教授をパネリストに迎え、川上がコーディネートを務めた。
世界一の長寿国である日本の食文化の崩壊が進行し、食の乱れが危惧されるなか、2005年度より食物健康科学科では、国が新設した栄養教諭(一種免許状)の養成が始まる。このパネルトークでは、幼稚園児や小中校の児童生徒への食教育の場としての森の可能性を探った。
桜井氏からは、生物多様性を保つ森や里山の価値、森林乱開発が食糧生産へ与える影響、フード・マイレージ導入の必要性など森の役割や魅力を子どもたちに伝えるための環境教育の提言があった。
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また、むやみに食物を与えないなど森に生きる動物たちとの共生の仕方や山へ入るための心得、林野率が31%と全国平均67%を大幅に下回る茨城県の筑波山のナラ林、八溝山系の森や里山の資源の活用の仕方などの具体的なアドバイスがあった。
小林教授からは、人間の生活を支える里山の意義、明治以降の治山・治水政策のあり方や現代日本人の食物消費への反省、生活の場としての里山の活用についての話があった。また、食嗜好が幼児期に形成されること、自分の舌で味わう大切さ、家庭の食生活への反省、楽な生活からは真の食文化は生まれないなど幼少期からの食教育の大切さが示された。
川上は、森のアロマの活用、里山の食文化を学ぶ教育具体例などを提示し、最後に森が地球環境や資源の鍵を握っていること、森が自然に帰ることの大切さを訴えていること、里山の食生活が日本人の食のルーツであること、食教育の上で森がキーワードになることなどを確認し、盛況のうちに閉会した。
食物健康科学科教授 川上美智子



