絵本作家いわむらかずお氏による講演会のご報告

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絵本作家いわむらかずお氏による講演会のご報告

いわむらかずお氏  いわむらかずお氏は、里山に暮らす野ネズミの大家族『14ひき』のシリーズをはじめ、『トガリ山のぼうけん』や『ゆうひの丘のなかま』シリーズ等、擬人化された動物たちが、克明に描きこまれた自然の中で生き生きと生活する多くの絵本で国内外に知られています。
 当日は、学園内託児施設「アンネローゼ」を本講演会のために開放したこともあり、子育て中のお母さん方にも多くご来場いただきました。また現職の保育士の方、本学学生や卒業生、他大学学生を含め、300余席の会場は超満員となりました(中継による「サテライト会場」を含め、総入場者数は379名でした)。
 いわむら氏の講演は、現在制作中の新作『14ひきのもちつき』(シリーズ第12作)のエピソードから始まりました。いわむら氏は栃木県馬頭に自ら建設した「絵本の丘美術館」を拠点に、そこに集まる子どもたちや近隣の人々とともに、自然観察や農業体験の活動をされています。そこで実際に行なわれた餅つきの行事をモチーフに、例によって『14ひき』一家のにぎやかで平和な関わり合いと楽しい食生活が描かれているとのことです。

14ひきシリーズ   トガリ山のぼうけん

 いわむら氏は1939年(昭和14年)に東京・杉並に生まれました。少年期のかずかずの思い出-武蔵野の豊かな雑木林、戦時下、教師であった両親と離れて秋田の祖父母のもとで心細く生活したこと、戦後の飢餓の思い出-それらの記憶が『14ひき』の着想の原点となっているとのお話しに、一同、絵本に込められた「平和」への願いに思い至り、深く頷き合いました。その後、会場の大型スクリーンに様々な作品を投影しながら、それぞれの作品に込めた思いや裏話、また自らの朗読を交えてお話しは進み、あっという間に1時間半の予定時間が過ぎてしまいました。アメリカの絵本作家エリック・カール氏との出会いと彼との合作による新しい絵本『どこへいくの?To see my friend!』のお話など、もっと深く伺いたいと思いながら、盛大な拍手の中、終了となりました。講演内容や雰囲気につきましては、下に載せました本学学生の感想からもうかがえると思いますので、ご一読いただければ幸いです。講演終了後は、著書を購入したお客様一人ひとりと言葉を交わしながらサインの求めに応じて下さり、長蛇の列が1時間も続いたほどでした。

サイン会   絵本即売会
 
〜大賑わいの絵本即売会〜
幼児保育専攻の学生が販売員として活躍しました。

 また、当日開演前に、緑豊かな本学キャンパスを散策し、「クルミの木がありますね。リスは来ませんか?」などと、常に人の暮らしの中にある自然に興味を持たれていることがうかがえました。今回の講演会を通し、今、地球規模での環境の変化が懸念されるとき、また、人と人とのつながりが、何か人工物を介してばかり行われがちなとき、理屈ではなく、目や耳や、皮膚や舌や、身体全体での体験を通して自然を知る、そこに幸福を味わえる、そんな教育が必要とされるのだというメッセージを私たちは受け取ったように思います。また、今回会場にお出でいただいた方はどなたも、いわむら氏の温かでユーモアあふれる人柄に触れ、その作品を味わう楽しさが何倍にも増したことでしょう。  

 

<児童教育学科・幼児保育専攻学生の感想文より一部を抜粋>
  • 地域の人々との餅つきやジャガイモ掘りなど、人と人との交流が、まるで家族のような暖かさを持ったとき、あのすばらしい作品へとつながるのだと思いました。畑の中での読み聞かせなど、実体験の後のお話の世界はまた格別でしょう。
  • 現代では人間関係が希薄になり、家族の絆も弱くなっているように思われます。実際に私も家族と一緒に食事をしたり、会話をしたりすることが少しずつ減ってきているように思います。そんな時にいわむらさんの作品といわむらさんご本人に出会い、ふと子どもの頃の豊かな時間を振り返ることの大切さに気づくことができたように思います。
  • 今回の講演で、いわむら先生は食事のシーンをとても大切にしているというお話を聞いて納得した。先生は戦時中、疎開をして家族バラバラの生活を送っており、戦後も食糧不足の中生活をして来られた。…だから「14ひき」という大家族がまとまって生活をし、家族が食卓を囲んで食事をとり、みんなで顔を合わせて話をするという日常の幸せを温かく描くことができるのではないかと感じた。
  • 1冊の絵本にも、作者の思いや、これまで作者の体験したことがたくさん詰まっているのだとわかった。私自身、子どもと向かい合うには、自分自身の体験や感性を磨いて豊かにしてゆくことが必要だと改めて感じた。
  • 私は今回、アンネローゼでの託児を担当しました。…さまざまな子どもがいる中で私自身ずっと緊張していたのですが、いろいろなことをお話してくれる子どもがいて、その子とお話をすることで緊張がほぐれたように思います。…(講演会は最後の30分ほどを聞くことができて)いわむらさんの抑揚のついた読み方(『かんがえるカエルくん』)で絵本の世界に引き込まれてゆく感覚が良くわかりました。
  • いわむらさんは、ただ絵本を書くというだけではなく、絵本を通して私たちにさまざまなことを伝え、人間性を育てると言う活動をしているのだと思いました。いわむらさんの「絵本の丘美術館」もぜひ訪れてみたいと思います。

フッタ

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