絵本作家いわむらかずお氏による講演会のご報告

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文学部児童教育学科主催講演会(子どもの命をまもるⅢ)のご報告

世界の子どもたちのために-ユニセフの活動について-(要約)

講   師 ユニセフ東京事務所副代表 城石幸博氏
場所・日時 茨城キリスト教大学8号館8101教室 ・ 2009年7月4日 午後2時〜3時40分
参加人数 学生92名、一般参加33名、計125名
  報告 児童教育学科講師 三澤 文紀

  • ユニセフとは
    ユニセフは、1946年ヨーロッパの戦災児の救済目的で「国連国際児童緊急基金」として創設。1953年に恒久的な国際機関として国連児童基金となる。日本でも1949から1962年まで150万人の子どもが恩恵受ける(当時の物価換算で65億円程度)。
    ユニセフの本部はニューヨークにあり、職員は約1万人。ただし、職員のうち、5人中4人は途上国の現場で働く。現場に出向いて働くことがユニセフ職員の特徴。現場では、現地の人を職員として採用することが多い。また、ユニセフそのものではないが、35の先進国にユニセフを支援する委員会(協会)があり、募金活動や広報活動を行っている。このため、政府からの支援に加え、これら委員会等を通じた民間の支援がある。
    ユニセフでは、年間およそ3000億円の収入があり、その内訳としては各国政府からの援助は6割程度、そのほか3割程度は民間からの募金等である。国際機関としては民間の募金の割合が珍しく高い。資金の使用先の5割以上がアフリカ。かつてはアジアだったが、近年、経済の発展によりアジアへの支援は減ってきている。主に、子どもの生存(健康、児童売買等への対策)に5割以上、教育に2割以上使っている。
    子どもの権利条約が事業活動の指針であり、大まかには子どもの生存、発達、保護、参加に関する事業を行っている。

  • Millennium Development Goals(MDGs)
    2000年に国連の会議で決められた国際的な8つのゴール。国際機関はこの目標に向かって活動している。ほとんどが社会的・人的開発に関与するもの。そして、MDGはほとんど子どもに関するゴール。
  1. 貧困と飢餓撲滅
  2. 基礎教育の完全普及
  3. 性による差別の是正と女性のエンパワーメント
  4. 子どもの死亡率の低下
  5. 母性保健の促進(母親の健康促進)HIV/エイズ、マラリア、そのほかの感染症対策
  6. 環境保護国際的パートナーシップの強化
当然、MDGに基づいてユニセフも活動。

MDGs

UNICEF中期戦略計画 2006-2009

 目標 1, 4, 5, 6, 7

 幼い子どもの生存と発達(女性の健康、水・衛生含む)

 目標 2, 3, 5

 基礎教育とジェンダー平等

 目標 6

 HIV/エイズやマラリアと子ども

 目標 1, 8

 子どもの権利のための政策アドボカシーとパートナーシップ


  • 世界の子供の状況
  • 毎年1憶36000万人誕生。途上国の子供の約6億人(約30%)は1日1ドル以下で生活。毎年920万人が5歳未満で死亡。5歳未満のうち1億4600万人(約25%)が栄養失調。小学校学齢期の子どもの1億2060万人が未就学(特に女子)。世界の子供の36%は出生登録されず、政府のサービス等を受けられない。出生登録を促すことも、ユニセフの重要な仕事の1つ。

  • 子どもの健康
  • 5歳未満の子どもの死因は、呼吸器系感染症(肺炎等)30%、下痢27%、麻疹6%。日本では簡単に治療できる病気によって、世界の多くの子供が死んでしまう。50%以上に栄養失調が関わる。
    栄養失調はカロリー不足で死亡する場合もあるが、多くは体に必要な微量元素が足りずに死につながる。
    特にヨウ素欠乏症が深刻。欠乏すると新生児が小さく生まれる、発達(知的能力を含む)も遅れるなどの問題もある。ヨウ素欠乏対策は、4~5億円の事業費用で4000~5000億の経済効果があるといわれる(知的障害IQの向上などで)。小さな投資で大きな効果を生むことができる。ユニセフでは、こういった微量元素に関する支援に力を入れている。ヨウ素供給支援のために、塩にヨウ素を含めることが必要。そのために、製塩業者から運搬業者までに働きかける必要がある。必要に応じて、製塩業者にヨウ素を入れる機械などを支援する必要がある。ユニセフの活動で欠乏症圏内の人の割合が68.9%から43.1%に減少するなど、高い効果が上がっている。
    また、ビタミンA欠乏症への対策も重要。夜盲症といった失明予防だけでなく、はしか、下痢の死亡率を低下させ、子ども全体の死亡率全体を25%低下させることが分かり、ユニセフはこの対策に力を入れている。1歳以下、病気の子供などにビタミンAを投与。バングラディッシュでは夜盲症有病率は1%以下になり、WHOの基準を下回るまでに改善。

  • 妊産婦死亡率
  • 最も困難な問題の一つ。1990年からほとんど削減できていない。約50%がサハラ砂漠以南のアフリカ、次いで南アジア約35%。先進国と途上国の差が開きつつある。西部・中部アフリカでは妊娠・出産で死亡する確率は約6%であるが、先進国は0.01%以下。

  • 教育
  • アフリカ中部では、30%以上の子供が小学校に行っていない。学校へ行っていない子どものうち、女児が5割を超える。1つの国でも男女格差がある。例えば、パキスタン南部では、5割以上の女児は学校に行っていないが、男児は比較的多く学校に行っている。

  • HIV/エイズ
    ユニセフ等の活動で死亡率が下がったアフリカ諸国では、近年、エイズのために子どもの死亡率が上昇し続けている。また、例えばネパールではかつてエイズがなかったものの、インドで女性が性的労働をさせられ、エイズが流入し、麻薬常習者のなかでは1994年から数年間でHIV罹患率が50%を超えるなどの急激な拡大がみられる。道路網が世界中に拡張することで経済が発展する半面、HIVも急激に拡大する。エイズ対策費用に各国が大きな割合を割かざるを得ない
    対策を早く、緊急に行ったほうが、かかる費用が長期的にみると少なくて済む。対策しないと後で費用が膨大になる。ブラジルでは、エイズ薬品を無料支給し始める。250億円以上かかったものの、経済的に300億円以上の損失を回避できたので、結局50億円以上のプラスになっているといわれている。セネガルも、当初から大統領が率先してエイズ対策に乗り出す。それによって、とても低く罹患率が抑えられている。一方で、南アフリカは大統領が率先して対策を打たなかったため、罹患率は高い。
    エイズによって父母が死んでしまうと、孤児が残される。1300万人以上の子どもが孤児になっており、数年後に2000万人増えるといわれている。孤児が増えれば、子ども自身の健康や生活に問題が起こるだけでなく、盗みや未就学等の社会的問題に。女性がエイズにかかると、産まれてくる子どもの30%がエイズに感染するといわれており、これも深刻な問題。

  • 子どもをめぐるその他の問題
    児童労働は深刻な問題。また、世界には25万人の少年兵がいるといわれ、これも重大な問題である(誘拐され、兵士にされる)。若年結婚も重要な問題。南アジアのある国では、10歳未満の女子が7%、15歳未満は40%が既婚、もしくは結婚の約束がある。途上国では18歳未満の平均35%が既婚。若年結婚は、健康面の問題だけでなく、女性の教育の機会を奪うなどの問題に関係が深い。また、毎年120万人の子どもが人身売買の犠牲になっている。サウジアラビアでは、パキスタン等から誘拐された子供がラクダの世話をさせられる等の事例があった。

  • 人道緊急支援

    イラク、ソマリア、コンゴなどの紛争地域に、また各国の自然災害に対して緊急支援を行っている。紛争が起きている国のほとんどが、15歳以下の子どもが多いため、子どもが被害を受ける。紛争が起きて生活の糧を失うと、人身売買や性的搾取につながる。紛争は、女児に多大な負の影響。軍による性的搾取、人身売買、強制的な若年結婚につながる。

  • 経済危機と子どもたちへの影響
    MDGs達成のためには、多大な費用がかかるものの、石油や物価の価格上昇のため、支援が困難になった。また、金融危機によって各国等からの援助は減少すると予想される。過去のアジアの金融危機では、5歳以下の死亡率が上がってしまったことから、今後、世界的に死亡率が上がる可能性が予想される。また、収入が高い場合でも、病気によって出費がかさみ、一気に貧困状態になることもある(多くの国は健康保険がないため)。MDGsに基づく活動の結果、子どもの死亡率は減少してきたが、今の経済状況では目標を達成はできないと予想される。

  • 若い人へのメッセージ
  • 30歳までに海外に行って、世界の現状を体験することが推奨される。将来の目標、30、20、10年後にどうありたいか、そして今、何をすべきかを考え、計画を進めることが重要。一つの分野で専門性をしっかりつけると、世界で役立つ。体力、スタミナ、健康管理、事故にあわないことなども重要。幅広く社会問題に関心を持ち、学び続けること。すべて関連している。環境、経済、国際など。経済学、行動科学、社会学、工学などの分野の人に、ぜひユニセフの活動に参加してほしい。
    語学力(特に、作文能力、発表能力が重要)、交渉力(仕事していると身に着く、特に外国人)、ネットワーク(人脈)を作る力が役立つ。技術に限らず、実践・事業の運営能力を身につけることが世界で役立つ。技術専門家から政策専門家になってほしい。
    以下の経験も役立つ。ユニセフ国内委員会等での開発教育、ボランティア、コンサルタント、NGO、官公庁、国連機関、国際開発銀行、私企業などでの実務体験。
    ※講演会当日、ユニセフ活動への募金をお願いしたところ、多大な御芳志を賜りました。ユニセフからの感謝状と領収書を下記に載せます。ご協力ありがとうございました。
    感謝状

    領収書

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