茨城キリスト教大学に対する相互評価結果ならびに認証評価結果
I 評価結果
評価の結果、貴大学は本協会の大学基準に適合していると認定する。
認定の期間は2014(平成26)年3月31日までとする。
II 総 評
一 理念・目的・教育目標の達成への全学的な姿勢
貴大学は、1967(昭和42)年に「キリスト教の精神に基づき、謙虚に真理を追求し、公正を尊び、真の隣人愛をもって人と社会に進んで奉仕し、人類の福祉と世界の平和に貢献する人間の育成」を建学の精神として設置された。開学当初はキリスト教学科と英語英米文学科の2学科で構成される文学部のみの単科大学としてその歴史の第一歩を踏み出した。その後、1982(昭和57)年には児童教育学科を、また1998(平成10)年には文化交流学科を設置した。さらに2004(平成16)年には児童教育学科を、児童教育専攻と新たに開設した幼児保育専攻の2専攻からなる学科として改編し、英語英米文学科についてはカリキュラム内容を一新するとともに、学科名称を現代英語学科と変更した。一方、2000(平成12)年には人間福祉学科および食物健康科学科の2学科からなる生活科学部を、2004(平成16)年には看護学部看護学科を開設した。また、1995(平成 7)年には大学院文学研究科(修士課程)を開設し、3学部6学科1研究科となり現在に至っている。
各学部の教育目標については、建学の精神に基づいた人材育成を目指してカリキュラムに反映させ、具体化している。特に生活科学部の教育目標は、「キリスト教的隣人愛と社会への奉仕を基盤として、心と生命を持ち、共同体の中で自然と共生しながら生きる、傷つきやすく精妙な人間を癒し、その良き生を守る人材を養成する」としており、大学の建学精神と明確に結び付いている。ただし、『点検・評価報告書』でも記載しているとおり、クリスチャン教職員の減少は、キリスト教に基づいた建学の精神を形骸化させるおそれもあり、非クリスチャン教職員に対する建学精神の理解を深めるための取り組みをさらに一層進める必要がある。
二 自己点検・評価の体制
貴大学では1995(平成 7)年度に「茨城キリスト教大学自己点検・評価の規程」を制定し、点検・評価の目的や具体的な実施体制を明示し、組織的な自己点検・評価活動が実施されている。しかし、その重要性については共通認識として教職員全体へ浸透しておらず、点検・評価活動に対する啓発が今後の課題である。また、自己点検・評価の結果を制度改革あるいは業務改善へ繋げる道筋が確保されていないことも今後の課題である。
今回提出された『点検・評価報告書』は大学の現状と課題が客観的によく分析され、記述も誠実になされ、密度の濃い内容となっており、現状の分析や点検と評価、改善方策がよく整理されている。ただし、「将来の改善・改革に向けた方策」には具体的な取り組み、方策の記述が不十分であり、たとえば、大学院の定員未充足の状態が長期的に続いているという問題について、具体的な方策が示されていないことなどは改善が望まれる。
三 長所の伸張と問題点の改善に向けての取り組み
1 教育研究組織
教育理念を具体化するために、3 学部(文学部・生活科学部・看護学部)1 研究科(文学研究科)を設置し、継続的に組織を整備している。また「学園宗教センター」ではキリスト教の精神に基づいた建学の精神を学内外に深化させる活動を行っており、貴大学の特色を生かした適切な教育・研究上の組織が整備されている。ただし、専門学科に所属していない共通科目等運営組織に関しては将来像の検討が必要である。
2 教育内容・方法
(1) 教育課程等
学部
専門教育と教養教育の連携を念頭に具体的な目的・目標のもと、教育内容が整備されている。また、建学の精神を教育課程の中で具体化するものとして、キリスト教科目などを「全学共通科目」として配置し、幅広い教養の修得と基礎的学力の向上のために、その成果の実現を目指している。特に生活科学部では、教育目標を実現させるために、学部基礎科目として「生命倫理」や「対人援助の基礎知識」を含む学部基礎科目が整備されており、社会福祉士や管理栄養士をはじめ多くの養成課程を揃えている。ただし、「全学共通科目」や「学部基礎科目」については、科目担当者間の更なる連携が期待される。
研究科
建学の精神に基づき、生涯学習、生涯教育の場として大学院の機能充実を目指し、教育目標に沿った内容が用意されている。また、社会人受け入れに対応するための特別な配慮がなされている。今後、現職中学校・高校教員の求める現場英語教育の充実に役立つ実践的なカリキュラム内容の改定など、教育目標を達成して十分な成果をあげるような方策が望まれる。
(2) 教育方法等
学部
『授業概要』は学生に理解しやすいように工夫されており、教員を中心に、年次ごとの履修ガイダンスを実施し、適切な指導をしている。入学前教育プログラムの配置を行うなど、教育目標を達成し、十分な成果をあげうる教育方法の改善がなされている。ただし、1年間の履修登録単位数上限設定や授業評価アンケート実施が不十分であることは今後、検討が望まれる。
研究科
少人数教育により、教員と学生との密度の濃い双方向の教育を実施している。ただし、教育改善が個々の教員の努力に任される傾向があるので、組織的なファカルティ・ディベロップメント(FD)活動を行い、より効果的な研究指導を期待したい。
(3) 教育研究交流
学部
国際交流の推進を重視する方針を明示し、国際レベルでの教育・研究交流ができる環境を整え、受け入れた留学生に対して修学・生活面の支援を行う「バディ・システム」を設置するなど積極的に推進している点は評価できるが、現実にはまだ教員個人レベルの交流にとどまっている。また、建学の精神として地域社会はもとより広く国際社会に奉仕する人物を養成することを目標とし、人類の福祉と世界の平和に貢献する人間の育成を目的としているにもかかわらず、現代英語学科以外はその方針が十分達成されているとは言えない。今後は方針が十分に達成できる組織的な取り組みを期待したい。
研究科
英語英米文学専攻では、提携関係にある天津師範大学との交流などを実施しているが、研究科として組織的な交流は不十分である。今後は研究科としての基本方針を策定し、その方針に基づいた組織的交流を実施する必要がある。
(4) 学位授与・課程修了の認定
研究科における学位授与方針は適切に定められており、その方針も学位授与の状況に反映されている。学位授与方針の明示および学位授与状況への反映という目標はほぼ達成されているものと判断できる。
3 学生の受け入れ
大学ではなく学科に入学する意識を持ち、専門的に学ぶ心構えを持ってほしいとの意図が明確である。また、多様な入学者選抜方式が導入され、公正な受け入れが行われていることが『学生募集要項』『大学案内』等によって確認できる。ただし、一部の学科において入学定員に対する入学者の比率が若干高くなっており、検討が必要である。逆に大学院英語英米文学専攻では定員割れが常態化しており検証が必要である。
4 学生生活
学生生活や就職指導への満足度については、「学生による学生生活評価」の実施の可能性を検討しており、今後の成果が期待される。また、ハラスメント防止に関しては十分整備され、広報も行き渡っている。なお、大学独自の奨学金制度や経済援助制度も充実しており、看護学部では県内病院による奨学金給付制度が設置されているなど、学生が学修に専念できる諸条件を整備している。ただし、今後はすべての相談希望者に対応できるよう学生相談体制の更なる充実が望まれる。
5 研究環境
国内外、ならびに長期、短期の研修制度があり、研修期間中の給与も全額支給されるシステムが整い、毎年、研修者を出しているので、研究活動の環境は整備されている。また、看護学部では独自の研究組織として、FD研修検討会を発足させ、定例研究会を設定している。ただし、専任教員の研究活動に関しては努力がうかがわれるが、校務に追われて研修、研究活動が十分にできない場合があり、配慮が必要である。
6 社会貢献
担当機関名が「地域連携推進室」へと変更されたことからもうかがえるように、生涯学習、地域連携事業、聴講生、ゆうゆうカレッジ、学校教育ボランティア支援事業と多岐にわたって実施しており、地域の要望に配慮した種々の講座を提供し、教員の専門性にあわせた近隣市町村への人材派遣を実施している。特に生活科学部においては、地域社会や企業等との連携が増加している。今後、「地域連携推進室」の一層の充実・整備を図ることによって、さらに広範な社会貢献が期待される。
ただし、各種事業を実施するにあたり、その具体的な運営方法、維持管理に関わる経費などについて、連携先と十分協議する制度を設ける必要がある。また、派遣実績や分野、派遣教員の偏りの是正が望まれる。
7 教員組織
教員組織は大学設置基準を満たしており、教員1人あたりの学生数も適切である。また、採用人事は公募制が定着しており、昇格人事については、「任用内規」の手順に則り公正に行われている。ただし、専任教員の年齢構成のアンバランスが一部見られるので改善が望まれる。
8 事務組織
総務グル?プ、学生支援グル?プ、入試広報グル?プと3大別され、それぞれの業務を所管する委員会および部署が明確である。また、事務組織と教学組織との連携はおおむね良好に機能している。なお、人事評価制度の導入と学内研修、自主研修参加費等補助制度の創設などの取り組みについては、今後の成果が期待される。
9 施設・設備
面積的には十分な広さを持つキャンパスが確保されている。また、十分な施設・設備を整備しており、管理も適切である。ただし、事務局が2つのエリアに分かれており、広大なキャンパスが効率的に活用されているとは言いがたい。また、古くなった建物に関しては特に耐震診断を急ぎ、安全を確保することが望まれる。
10 図書・電子媒体等
図書・電子媒体等の資料は基本的に整備されており、利用者の活用に供している。また、蔵書の収容スペ?ス確保に課題は残っているが、平日は20時30分まで開館し、土曜日も開館して地域の公共図書館としても機能している。
11 管理運営
「教授会」および「大学運営会議」をとおして、それぞれ審議決定事項・内容が明記されており、大学管理運営体制は整備されている。また、大学の管理運営に関しての基本的考え方が明示され、適切な運営を行い、「大学執行部」と「教授会」、事務組織との連携もスムーズであり、適切な管理運営を行っている。今後の課題は、貴大学の『点検・評価報告書』でも述べられているとおり「学長職機能の補佐的執行職」設置の検討である。
12 財務
地域社会の発展に貢献することを使命とし、教育研究環境の改善・充実のための不断の努力と、それを支える健全な財政を目標として掲げている。1997(平成 9)年からの「学園長期経営計画」に基づき、短期大学部を廃止する一方、文学部のみであった大学に生活科学部を設置し、2004(平成16)年には看護学部を新設して、財務基盤の拡大・整備の効果を発揮しつつある。
財務状況は、学生生徒等納付金比率が理工系学部を含む複数の学部を設置する私立大学の平均に比べ多少高めではあるが、看護学部の開設等による定員増により、大学の収入は毎年増加傾向にある。単年度では消費収入超過の状況にあり、翌年度繰越消費支出超過額の減少にも繋がっている。
なお、監事および公認会計士(監査法人)監査は適正かつ客観的に行われており、監事による監査報告書では、学校法人の財産および業務執行に関する監査の状況が適切に示されている。
13 情報公開・説明責任
教育や経営に関する情報などについてはホームページ、広報誌を通じて公開している。また、入学試験の結果に関する成績開示請求、成績評価に関する学生からの照会、保護者に対する成績の開示に関する方策は十分熟考されているなど、情報公開や説明責任の履行はおよそ達成されている。ただし、現段階でホームページによって公開している情報は概要のみにとどまっている。今後は、在学生およびその保護者への情報公開も含めて体制の整備が望まれる。
財務情報に関しては、教職員、学生、保護者、卒業生そのs他を対象とした大学広報誌『みどりの』に財務三表に解説を加えて掲載している。また、財務三表はホームページでも広く公開しており、情報公開および説明責任にかかる目標はおおむね達成している。
III 大学に対する提言
総評に提示した事項に関連して、特に改善を要する点を以下に列挙する。
一 助 言
1 教育内容・方法
(1) 教育方法等
1) 各学部とも、1年間の履修登録単位数の上限が60単位である点は段階的な学修の観点から早急に検討が望まれる。
(2) 教育研究交流
1) 各学部とも、国際交流は重視しているが、現実にはまだ教員個人レベルにとどまっている。短期交換留学が7つの留学先で実施されているが、学部により参加者に偏りが見られ、全学の国際交流プログラムとして機能していない。今後は学部・学科全体で組織的・計画的に取り組むことが望まれる。
2) 文学研究科においても国際交流は実施しているものの、国際交流重視の方針が明示されていないことは改善が望まれる。貴大学大学院学則第1条には「地域社会と国際社会に貢献する能力をもつ人材を育成することを目的とする。」と明文化しており、学則を反映した交流方針を策定し、一層の国際交流を推進することが必要である。また、2専攻の専門領域に違いがあり、国際交流の推進に差が生じており、今後、研究科として研究交流の可能性を探ることが求められる。
以上